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箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #107 

#107 戻ってきた平和

リリウム「うーん……。」
リリウムは、目が覚めた。一面緑の草原に囲まれた大樹の下で。
グレン「グゥ………グゥ………。」
グレンは、リリウムを乗せたまま眠っていた。
吹いてくるそよ風が、気持ちよくリリウムの頬をさする。二人を真上で見守る大樹の葉は、風に揺れて爽やかな音を鳴らす。
リリウム「グレン、起きるのー。」
リリウムは、グレンの体から降りる。そして彼の身体を激しくゆさぶる。
グレン「グゥ………ん………。」
グレンは目覚め、一回大あくびをしてから体を起こした。
風に吹かれながら、ふとリリウムは思う。
リリウム「グレン、りり達死んだのかな?」
グレン「んな訳無いだろ。ちゃんとこの大地に足をつけているではないか。それに死んでいた らこの風の心地よさ、太陽の暖かさも分からないよ。」
グレンはそう言うと、間尺もなくリリウムの唇にキスをする。
リリウムは、胸がドキっと打たれるような感覚がした。
リリウム「っ……。」
グレン「ふふふ。」
驚いた様子のリリウムを見て、グレンは微笑む。
リリウムは、頬を膨らませて照れた。しかし、すぐに。
リリウム「そーいえば……ルナリアはどーなっているんだろ……。」
彼女は、自らは狂気に侵食されてよくは分かっていないが、確かにこの手で壊したような気もするあの街の惨事を、少しだけだが覚えていた。その街が、今はどうなっているのかが気になるようだ。
グレン「じゃあ……見に行く?」
グレンが、早く乗れよと言わんばかりに腰を下ろす。
リリウム「うん。」
リリウムは、ぴょいっと彼の背中にまたがる。
グレン「じゃあ……行くか。」
グレンは、リリウムが自分の体にしっかりまたがったことを確認する。そして二人は、緑の中から、ルナリアを目指して飛び立つのであった。

~ルナリアの街~

しばらく飛空していると、あの街並みが見えてきた。
まるで時間が巻き戻ったかのように、元通りになっているのが遠目でも分かる。
グレン「ルナリアだな……。」
しかし、グレンの表情が浮かない。
リリウム「どうしたの。」
グレン「いや……。この前の事があったからな。今更俺が受け入れてもらえるだろうか。悪名高き凶竜がな。」
そう言われればリリウムにも、思う節があった。
リリウム「うん……。りりも二度目……。前の時はシシャモがなんとかしてくれたけど、今度も上手くいくかな……。」
二人は、不安を抱えながらその街へと入っていくのであった。
一方。
ルナリアの街中では。昨今の騒動が起きる前のように、メインストリートでは太陽の下で露店が並び、たくさんの人が往きかっていた。かつての荒れ模様なんて全く感じさせない程に、活気を取り戻している。
そこへやって来た竜の影。それに誰よりも早く気付く者……。
リク「来たぞ!凶竜が!!」
リクの一声で、皆が凶竜の姿を見る。その直後。
平和な街は一気に喧騒へ。ある者はパニックになり一目散に逃げようと、またある者はとっさに武器を構えて戦おうとそれぞれが、乱れる人の波に揉まれて混乱状態である。
グレン「やはりか。」
リリウム「だね。」
二人は、所詮は雑魚どもの騒ぎだ、とのんきに眺めていた。地上からは、竹槍やら銃弾やらいろんな物が二人に襲いかかるのだが、届かなかったりかわしたり。そもそもハズレ弾やろくに飛ばない弾が多数を占め、グレンが竜の炎を一発浴びせてやる気にもならない。
二人は、無力なルナリア市民を完全になめていた。すると突然。
超superKou「おっと見つけたぜ指名手配犯リリウム・ノアールとその凶竜ぅぅぅううううううううう!!」
街中に聞こえる程、迷惑になりかねない大音量で、DJ風の叫び声と、いかにもパーリーピーポーが寄ってたかりそうなEDMミュージックが流れ始める。
と、同時にそれまでの喧騒が一気に歓声へと変わった。
派手な衣装を纏い、黄金の飛行スクーターで飛んでくる男。
「超superKou様ァァァァァアアアアア!!」
地上からは、一気に彼に目線が向き、歓声が上がっていた。まるで突然始まった路上パフォーマンスのようである。
超superKouは、歓声に応えるように手を振っていた。

《続く》

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #106 

#106 月光石の希望

地下奥深くでは、強大な光に貫かれた魔女が苦しみにもがいていた。
チルリータ『(ぐっ……痛いっ……!身体の芯から焼かれそう…………!…………!?)』
彼女は、ふと胸の中に空虚感を覚えた。
さっきまでとは何かが違う。自らの心を癒していた大切なものが、ぽっかりと抜け落ちている。その突然の寂しさが彼女の心までも襲う。
チルリータ『(うぁ………。嫌よっ……!こんなの嫌嫌嫌嫌嫌ぁあああああああああ!!!)』
やけになって伸びた手が、周りの壁にぶち当り、次々に壊していく。
ズゴゴゴゴゴゴゴ……。壁面が崩れ落ちていく音。それはまるで、彼女の精神状態を現しているようである。
チルリータ『(うぁあああああああああ……!ああぁっ…………!)』
どんどん壊されて崩れ落ちていくばかりの空間。もはや自己コントロール不能状態の彼女。
すると。
チルリータ『(ぐっぅうううう………!)』
そんな彼女を、「落ちつけ」と言わんばかりに何かが貫いていった。
それはとても痛かった。しかしその後、今までの錯乱状態はなんだったのだろうと思うほど、彼女の心がすっと鎮った。
「こっちを向けよ。」
彼女に語りかける優しい声。
チルリータ『(…………?)』
惹かれるようにそちらを向くと、白く輝く竜の姿。
チルリータ『(グレン……!)』
目の前に現れた憧れの存在。魔女はその黒き腕を震わせながら、まるで食べ物を乞うかのように伸ばす。
自らの手で掴もうとする。するとそれは、するりとそこから逃げていく。
チルリータ『(あぁ……っ!)』
チルリータは、竜の逃げた方を向いた。
しかしその竜は、辺りを見渡しても見当たらない。
そして彼女は、落ち込んだ。
グレン「そんなに落ち込むなよ。魔女チルリータ。」
優しく語りかけるグレンの声。それは、彼女の心の中から聞こえてきた。
チルリータ『(グレン……ひどいよ……っ!)」
チルリータの不気味な瞳から、涙が流れ始める。
グレン「おいおい泣くなよ。せっかく振り向いてやったのによ……。」
チルリータ『(それならもっと早く振り向いて欲しかった……。)』
グレン「本当に今まですまなかったな……。」

***

チルリータが次に、ふと顔を上げると。いつの間にか周りの風景は、優しい光に満ち溢れている塔の中になっていた。
その暖かな光の先にいるのは、彼女に両手を伸ばすグレン。
グレン「さぁ、おいで。」
彼の優しい笑顔に、チルリータは飛びつきそうになった。しかし、ふと覚える自らの醜い姿が彼女の足を止める。
チルリータ『(私……こんな……姿……。)』
グレン「そうだったとしても今はいいんだ。自分の姿を見てごらん?」
グレンに言われるがままに、自らの姿を確認するチルリータ。それは、激情し、黒き魔女と化してしまう前のように、ピンクのローブを纏っていた。
その桃色を見ると彼女は、どわっと涙を溢れさせながらグレンの胸へと飛び込む。
チルリータ「グレン……!私っ……私っ……っ!」
グレン「いやいや、もういいんだ。俺も今までお前を弄んでしまっていたからな……。」
グレンは、自らの胸へ顔を埋めているチルリータを優しく撫でる。
チルリータ「ううん……。それにもう、グレンはあの子を選んだんだから……。」
グレン「察してくれてたのか……意外だ…………。」
グレンは、チルリータをぎゅっと抱きしめた。
この時のチルリータの中にはもう、悲しさも妬ましさもなかった。恋勝負の負けを悟ったのだ。それどころか、今こうして憧れの竜に抱かれている事に、とても心が満たされている。
夢のような時間だった。しかし、それもすぐに過ぎ去る事になる。
グレン「…………そろそろお別れだ。」
突然グレンが、チルリータから体を離す。
チルリータ「えっ……。」
チルリータは、急に寂しさを覚えた。
グレンは、今度はさっきとは一変。厳かな声調で彼女に語りかける。
グレン「お前には、償わなければならない罪がある。そしてこれからは、新しい世界でその罪を償うのだ。こんな俺が言えた事でも無いがな……。」
チルリータ「そ……それってどういうこと!?怖い怖い怖い怖い……!」
真剣なグレンの表情に、チルリータは恐怖を覚えた。
グレン「大丈夫だよ。俺たちがちゃんと送り届けるからさ……。」
最後に聞こえた彼の声の後。また元の暗闇へと戻っていた。

***

リリウムとグレンは、チルリータに対し高度を取っていた。
グレン「チルリータの事はもう大丈夫だ、行くぞ。」
リリウム「うん。」
二人はお互いに目を合わせた。
リリウムが、念を送りながらムーンライト・トパーズを握りしめる。
すると、その中から光が溢れ出し、チルリータの方へと幾多もの線が伸びてゆく。
水色に輝くその光は、黒き魔女の身体を包み、天から地へと繋がる一筋の道を編み出した。
リリウム「凶を絶ち、魔を鎮め、黒き物をも優しく癒して赦す月の光────闇に飲まれし魔女よ、今その光に導かれん!!」

『秘伝輝石魔法Ⅺ《ムーンライト・トパーズ・エスペランサ》』

太陽にも劣らない程の強大な光源が魔女にぶつかる。その後、そのあまりにも強大すぎる光が外へと溢れ出し、そのまま世界を丸ごと包みこんだ。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #105 

#105 天使の命

グレン、夜霧、ももかの3人は、間近に落ちた稲光に目がくらんでしまう。
しばらくして。視界が晴れた時だった。
目の前には、ホタルのような淡く優しい光。その先には、白衣の少女の天使のような笑顔……。
そう、リリウムは復活を遂げたのだ。
グレン「リリィっ!!」
グレンはそれを確認するや、リリウムの胸元に飛び付いては顔をうずめる。
リリウム「グレン……。声、ちゃんと届いたの……。」
リリウムは、涙を流しながらグレンの頭を撫でた。
夜霧「良かったな……。」
夜霧は、今まで生きていた中で一番であろう笑みを零していた。そして、自らと信じていた伝説に過ちがあった事を悟った。
ももか「ちぇっ……。」
ももかは、自分が冗談で言った事が本当だったのが面白くなく感じていた。しかし、これはこれで良かったのかもと感じてもいた。
リリウム「さぁ、ここから出るの。グレン……いい?」
リリウムは、上を指差した。
グレン「こんな所からは早く出ようか。」
グレンは、ご機嫌るんるんで竜の姿へと変化し、乗りやすい様に姿勢を低くした。
リリウムは、彼の背中にぴょいっとまたがる。
リリウム「そこのお二人さんも乗るの。」
リリウムが、早く早くと手招きする。
夜霧「おう……。」
ももか「いいの!?」
夜霧とももかも、グレンの背中にまたがる。
リリウム「しっかり捕まってるの……。グレン、Are you ready?」
リリウムとグレンは、お互いの目線を合わせる。
グレン「……Yes.」
グレンは呟いた。すると、彼の身体が白く輝き始める。その姿は、天に仕える光の竜そのものである。
そして、光の線を引きながら天高く舞い。
あっという間に魔女の身体を貫いて、そのまま地下から抜け出し、灼熱地獄である外へと出た。
ももか「あっと言う間に外に出た!」
ももかは、興奮し、
夜霧「これじゃあ俺は到底敵わないな……。」
夜霧は、苦笑いしていた。
グレンは、夜霧の方を向く。
グレン「なぁ、夜霧?」
夜霧「何だ?」
グレン「女を連れて出来るだけ遠くへ離れてくれないか。あ、リリィじゃない方な。」
夜霧「分かった……。」
夜霧は、姿を変えようとした時だった。
グレン「ちょっと待て。」
グレンは彼を、突然呼び止める。
夜霧「何だ?」
グレン「トパーズはリリィに渡せ。お前持ってるだろ。」
夜霧は、ムーンライト・トパーズは鍵に使ったから自分が持っている覚えは無かったが、コートのポケットに手をいれてみた。何か入っていたから取り出してみると、手の中には、何故かムーンライト・トパーズがあった。
夜霧は、それをリリウムに渡す。そして不死鳥の姿に変わり、宙に舞う。
ももか「私、これに乗ればいいの?」
ももかは、夜霧を指差した。
リリウム「うん。」
リリウムがうなずくと、ももかは夜霧の背中に飛び移る。
夜霧「しっかり捕まれよ……。」
そして、ももかを乗せた夜霧は遥か彼方へと飛び去っていった。
リリウム「さて、りり達は最後の一仕事なの。」
グレン「だね。行こう。」
リリウムとグレンは、もう一度あの魔女の元へ向かうのであった。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #104 

#104 『真実の愛のキス』

~魔女の内部~
ももかは、魔女の内部に入り込んでいた。
中は、黒くどろどろとした物が溶けており、気味の悪い湿り気と空間の歪みが蔓延っている。
ももかは、その中に飲み込まれないよう、フットワーク軽くさっさと進んでいた。
ももか「お姉様は内部まで汚れてしまって……。こりゃ始末するしかないわねぇ……。ありゃ?」
しばらく進んでいると、下には人影が。倒れている少女に、男二人がついている。
ももか「あれは誰だ……?何があったんだろ。」
ももかは、空間を渡り歩き、興味本位に近づくことにした。
ももか「すみませーん……ってえぇ!?」
ももかは、場違いな空気に思わず押し返される。それ以上に驚いた事は……。
ももか「あのリリウム!?ここでまさか会うなんて。」
ももかは、訳を分かっていなかった。しかし、すぐに黒い兎の耳に気づく。
ももか「噂にはあったけど……もしかして魔兎=リリウム?」
沈黙が流れる。
すると、リリウムの側で泣いている男が、こくりとうなずいた。
その男は、まるで竜のようなツノや翼、更に尻尾がついている。
それを見て、ももかはまた察する。
ももか「てかさ、最近ルナリアで話題になってた凶竜って……もしかしてあんたのことなの?」
凶竜は、涙を流したままだった。
が、少しすると重い口が開く。
グレン「……そうだが……。」
ももか「へぇー……。そーなんだぁー……。」
ももかは、見世物を見るような目でグレンを見ていた。
グレン「そんな目で見るな……。」
グレンは、ももかをギロリと睨みつける。
夜霧「彼は愛する者を失い悲しんでいる……。分からぬのか……。」
ももか「そっかぁ……。」
夜霧に言われて、ももかは考えた。しかし、気まぐれに悪戯をして生きていた彼女にはいまいちわかるものではなかった。
しかし、小さな頃に聞いたことがあるような、ある考えが彼女の脳裏に浮かんだ。
ももか「ねぇ……。こんな事誰も信じないと思うけどさ、キス……してみたらどうかなぁ?『真実の愛のキス』。」
グレンと夜霧は、そっと顔を上げた。
ももか「そうだよ。誰もが一度は聞いた事のあるお話。あんたたちにも分かるかな?」
夜霧「確かに、その話は有名だな……。呪いを掛けられ永遠の眠りについた姫が、王子の愛のキスによって目覚める話……。でも、今この場でそんな事あり得るのか?」
夜霧は、いまいち信憑性に欠けると首を傾げた。
ももか「えへへ……。」
ももかも、軽い気持ちで冗談半分に言っていた事であった。
しかし。
グレン「やって……みよう……。」
グレンは、そっとリリウムの顔に自分の顔を近づけた。
ももか「ほぇ?」
この場にいる者達に見守られながら。グレンはリリウムに、そっと言葉をかけ始める……。
グレン「リリウム様……いや、リリィ。本当にすまなかったな……。凶竜で自分の主だと言うのに、俺は自分の欲しか考えていなかった……。こんな俺は使い竜失格だ。でも、俺はお前を一目見た時に、可愛さ故の欲望と共に、お前にかけられていた呪いに気付いていた。そして言えてなかったのだが、その呪いは俺に解ける物かもしれないと魂の中で感じたんだ。だから、契約が結ばれたのだと今は思う。それに、塔で一人孤独だった俺にとって、リリィはかけがえの無い存在だ。一緒にギルドで過ごした時間は、俺が生きた時間長い長い時間の中ではほんのひとかけらだったし、決していい事ばかりでは無かった。けれど、俺が一人で過ごしていた空白の時間よりはとても充実した、大切な時間だったんだ……。今はお前をただの欲には見ていない。もし、これからも一緒に居れるならお前の事もちゃんと考えて、精一杯尽くしたい。ちゃんと愛したい。

こんな事言っても……お前は還らないとは思うが…………。せめて最後の希望だ……。」

そう言うとグレンは、リリウムの唇に、そっとキスをした。これまでの何十倍も、何百倍も優しく。そして深く。
すると、グレンの口元がじわりと熱くなり始める。
グレン「………?」
最初は自分の熱かと思っていた。しかし、それは更に熱くなり、光まで発し始めた。
グレンはあまりの眩しさに、リリウムから離れる。
夜霧「何だっ………!」
ももか「ええっ………!」
周りにいた夜霧とももかも、驚きを隠せない。
そして、天から雷光が大きな音を立てて降り注いだ。
グレン「リリィ!?」

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #103 

#103 魔兎の死

一方、魔女の内部の異空間は。
さっきまでの夢心地の風景とは一変。あちらこちらが崩れ、黒く溶けかかり、重力が渦のようにねじれている。
夜霧「くっ……!早くここから出なければ……!」
グレン「落ちつけ。今無闇に動くと飲み込まれてしまう。それに俺がいるからここは大丈夫だ。」
グレンは、自分の身の回りの重力のコントロールを施している。
夜霧は、それよりも早く突破口を見つけて抜け出したい気持ちでいっぱい。心では分かってても落ち着けない。
すると、天から白く輝く星のような何かがこちらに向かって落ちてくるではないか。
グレン「何だ?夜霧、ここにいとけ。」
グレンは、そう言うと上に向かってゆっくりと飛び始めた。
対象に近づくと、それは人影……。兎の耳が生えた小さな少女だということが伺えた。
グレン「リリウム様……。」
グレンは、降ってくるリリウムをそっと受け止めた。
抱かれた彼女は、息の音が止まっていた。触れている肌も、まるで氷のように冷たい。
グレン「嘘……だろ。」
グレンは、ほろりと言葉を吐くと、ゆっくりと下降した。
そのまま、そっとリリウムを地面に置く。そして、自分も地面に両手をつけて彼女の方を向いて止まった。
夜霧「グレン……どうした……。」
グレン「…………。」
グレンは、哀愁を漂わせたまま沈黙している。
ポタッ……。リリウムの頬にゆっくりと涙が滴る音が、静かな空間に微かに響く……。
グレン「…………っ。…………っつ……。」
グレンの瞳からは、涙がポロポロと流れている。
これには夜霧も、さすがに同情せざるを負えずに。
夜霧「残念だな……。」
小さな声で呟く。
そして、涙を流し続けるグレンの背中をそっと撫で続けた。
リリウムの安らかな眠り顔は、竜の涙でうるうると光っていた。


~その外側では~

『お姉様……。私は負けてないよ……!』
暗闇に響く狂気に満ちた声。
チルリータ『(誰だ………!)』
チルリータが、唸り声を上げながらその声のする方を向く。
そこには、なんと死んだはずであろうももかがいた。目は鋭く紅く輝き、視線は剣(レーヴァテイン)のように魔女を刺している。
チルリータ『(貴様……まだ生きていたのかァ……!!)』
チルリータのおどろおどろしいうめきが、場内に響く。
そのうるささに、ももかは耳を塞いだ。
ももか「お姉様うるさい。」
ももかが、親指を下に突き立てる。
チルリータ『(それよりここまでどうやって来たァ!!)』
チルリータが、更に大音量でうめき声を上げる。
ももか「だからうるさいって言ってんだろクズ。……あら、お姉様は黙ることを知らなかったか~。きゃははっ。キモーイ。」
ももかは、口に手を当ててチルリータを罵った。
チルリータ『(黙れ!!)』
チルリータが、波動をももかに向かって放つ。
ももか「お姉様って本当馬鹿。ーレーヴァテインー」
紅のレーザー剣が、チルリータの身体を切り裂く。
チルリータは、声を上げて自らの身体を再生する。
しかし、次の瞬間には、ももかの姿はどこにも見当たらなかった。


《続く》

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