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箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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やみいろアルカディア #40 

#40 氷闇の研究室

前回のお話。
少女の名は、シラユキ。
彼女は、いつの間にかここにいてひとりぼっちだったそうだ。
アイシクルの入れ知恵でユウリが悪党とも教えられていたそうだが、そんなことお構い無しになつき、共に行動することとなった。



ミライ「ん………っ。」
  次にミライが目覚めたのは、碧の中だった。
 冷蔵庫に入っているようなひんやりとした感覚が、全身に走る。まるで何も着ていない、肌身に直に受ける寒さだった。
ミライ「ひゃっ………。」
 彼女が、自分の体を見てみると……やはり裸だった。
 それに周りは、闇にチカチカと光るよく分からない機械に、ごちゃごちゃと要り組んだパイプ。妖しく輝いている大きな塊は、恐らく自分自身が入っている氷であろう。
アイシクル「お目覚めかな……僕のお姫様……。」
  そして下からはアイシクルが、恍惚の表情でこちらを見ている。
ミライ「何っ……みー……裸にされてる……。何のつもり……。」
 ミライは、身体を震わせて怯えていた。
 それを見たアイシクルは、更にうっとりしてにやける。
アイシクル「大丈夫……。悪いことはしない……。君をもっと綺麗に……見せるための……。調教…………?」
ミライ「ちょ……調教………!?」
  「調教」という言葉が、ミライの顔色を更に悪くさせる。身体の震えも、より一層強くなった。
アイシクル「何怯えてるの……?お前を惑わす下種男は、……今頃抜けられもしない迷宮の中で寒さと罠に疲れ果てて……、……どこかで朽ちているだろうな…………!」
  アイシクルは、目がかっと見開き、復讐心に満ちた笑みを浮かべていた。その姿は、狂気そのものである。
  ミライは、何も言葉が出なくなった。彼が、何処にあるかも知らない迷宮で倒れたと告げられたこと。そして何より、今まで肌身離さず一緒にいたパートナーが、そんな醜いことを考えていたこと……。
 そんなミライを見たアイシクルは、我を取り戻す。
アイシクル「……ごめん。」
  しかしミライは、「……。」の台詞も出せるほどの状況では無かった。彼女の頭は、真っ白とも認識が出来ない。びくとも動きそうな様子もなく、魂が抜けた人形のようだ。
『今目ノ前ニイルノハ“本当ノ悪魔”』―――ミライは、そう頭の中に浮かべたまま思考停止していた。
アイシクル「メアリー……。」
  アイシクルは、そうとだけ呟いてしばらく彼女を見続けた。
  しかし彼女は、全く動く気配がない。
アイシクル「まぁいい……フフフ…………。メアリー……、これで君は僕のもの……。」
  アイシクルはにやけながら、握っていた機械のレバーを下げた。
  静かに機械音が鳴り始め、氷の中の分子が揺らいでミライを包み込む。
アイシクル「きっとあの男……には、ここが分からまい……。」
  優越感に浸っているアイシクル。と、その時だった。
ユウリ「見つけたぞ。」
  アイツの声がした。
アイシクル「くっ!」
  アイシクルは、ユウリに向けてつららを飛ばした。
  しかし闇の中から、指の間でつららを挟んでいるユウリの姿が現れた。彼の後ろからはひょっこり、シラユキが顔を出している。
アイシクル「このっ……!シラユキまで……!?」
シラユキ「アイシクル様。様子を見に来ましたぁ。」
 シラユキは、アイシクルに向かってウィンクをした。
 アイシクルは、何かを思い出したように言った。
アイシクル「シラユキ……。いたのか……。」
シラユキ「いたのか……じゃないでしょ!この悪魔ぁ!」
 シラユキが、アイシクルを指差す。
アイシクル「んっ………!悪魔は……その男だ……。」
 アイシクルがそう言うと、シラユキもすかさず反論する。
シラユキ「ユウリは悪魔じゃない!ふつーの男の子だぁ!」
ユウリ「今すぐミライを返せ……。」
  ユウリは、アイシクルを三白眼で睨みつけた。


《続く》
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