箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #112《Last》 

#112 その後の物語

それからは皆、思い思いの地で思い思いの隠居生活を送っていた。
誰一人と別に追われることもなく、生活に困ることもなく、それなりに平和に過ごしていた。
それは、あの二人も例外ではない……。

~とある島にて~

二人は、海に面している洞窟の中に住居を構えていた。
リリウムのお腹は、新しい命をみごもっており大きく膨らんでいる。
リリウム「いつ生まれてくるかな……。りりの赤ちゃん。」
グレン「もうすぐだと思うがな……。しかし今更だけど、リリィもここまでよく許してくれたな。」
グレンは、そう言いながらお腹をさすっている。
リリウム「うん。正直りりでもびっくりしてる。そして魔兎と凶竜の赤ちゃんなんてどんな化け物が出てくるんだろ……。」
グレン「どんな生き物、だろ。それは出てきてからのお楽しみー。なんてな。」
リリウム「今夜だといいな……綺麗な三日月だもん。」
グレン「まぁな。」
二人は、海面の先にある夕焼け空を眺めながら、もうすぐ訪れる新しい命の誕生に胸をときめかせていた。

***

語り手の私は、誰も居なくなったこの建物に今も住んでいる。
あのギルドの跡地という事が災いして、新しい住人がつかない。今は私を含めた幽霊達の居場所になっているよ。
四大都市ルナリアは、今日も平和。しかし、あのギルドのことについて語りがたる者は、もういない。
『第三次魔兎騒動』も、今や都市伝説と化している……。

それはさておき、これでVierge♀Cendrilonのお話はおしまい。
長い間付き合ってくれて、私も嬉しかったよ。




Vierge♀Cendrilon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

.*TRUE END*. Thanks for reading!!


✩☪·̩͙♡*.+.。.:*・✩☪·̩͙♡*.+.。.:*・✩☪·̩͙♡*.+.。.:*・




Happy Birthday Lilium♪(1/25)

愛するグレンと末長くお幸せに(?)



そして、次の物語へ……。

少女「しばらくお楽しみに!」
青年「準備が出来たら迎えにいくよ」


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category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #111 

#111 別れ

~バベルの塔跡地 地下部~

崩壊したバベルの塔の跡地、地下部は、地の果てまで続く大きな穴を囲むように、周りはダンジョンと化していた。
グレン「ふむ、たしかこの辺に……お、見つけた。」
グレンは、とある部屋の扉を開く。崩壊の衝撃のせいか扉はボロボロになっており、開くと同時に音を立てながら崩れ去ってしまう。
扉を開いた先には広々とした部屋。そこには視界全体に広がるほど巨大で、ところどころ錆びており、古代的でかつ近未来的な雰囲気の装置が置いてあった。
エメラルド「これは……。」
普段から不思議な薬やギルドの小細工を担当していたエメラルドでさえ、これには目を引かれるほど驚いていた。
リリウム「グレン、こんな凄そうな物造ってたの……。」
グレン「これはテレポート装置だ。これは空間魔法のテレポートとは違い、魔力による差に左右されない。そして異世界や夢の世界までも行ける。皆、こうなったからにはルナリアにはいられない……。だからせめて……最後は好きな所で余生を過ごしてくれ……。本当に……俺の欲のせいで……すまな…………ぃい……………。」
グレンは、説明中にだんだんと泣き崩れていき、最後はたくさんの涙と泣き言で何を言っているのか分からなくなっていた。
リリウム「今更なの。りりが被害を拡大させてしまったから……」
リリウムは、哀哭しているグレンに優しく寄りかかった。
グレン「リリィは悪くない………。お前は……いつか……再び呪いで猛威を振るうと…………。」
泣き続けるグレンに、ジグマも優しく寄り添って背中をさする。
ジグマ「今更過ぎた事だし仕方ないじゃん。最後にはルナリアも平和で、みんなもこうしているから。みんなその後はなんとかするよ。ここにいる誰一人も凶竜を恨んだりはしないよ。ね?」
ジグマが皆の方を見る。
グレンは、絶えず流れる涙でぐしゃぐしゃの顔を上げる。
皆は、ジグマやグレンの方に向かって優しくうなづいた。
ジグマ「ね?そして最後に、こんな凄い装置で好きなところへ逃げさせてくれるんだもん。」
グレン「本当に……いいのか……?」
リリウム「Viergeのギルマスとしても、凶竜と墜ちた魔兎としても許可するの。えへっ。」
グレンの胸元には、自分の涙で濡れながらも笑っている彼女の姿がいた。
リリウム「はやく装置を動かすの。皆早く逃げないとここも囲まれちゃうよ。」
リリウムは、頰を膨らませた。
グレン「分かった……。」
グレンは、ゆっくりと歩き出した。そして、装置のスイッチを入れる。
装置は、ギュオン……と音を立て、優しい光と共に起動する。
グレン「さぁ……行きたい場所を強く念じて……別れの時だ……。」
グレンがそう言うと、まずはももかが夜霧を連れて名乗り出た。
ももか「じゃあ……私はこのフェニックスと一緒に吸血鬼城に住むわ!ね。」
夜霧「…………おいお……。」
ももかと夜霧がゲートをくぐると、声が途切れて聞こえなくなった。
リオン「次は私と黒猫魔だな。今までお世話になったな、皆。」
黒猫魔「ドウカお元気デ……」
リオンと黒猫魔は、皆に向かってお辞儀をしてゲートを潜っていった。
リン「ねこしゃ……。」
リオレット「いざとなったら寂しいな……。」
仲間との別れを惜しむメンバーはもちろんのこと。新生活にうかれていたメンバー達も、いざ別れを告げると、寂しさに心を浮かれた……。
リン「ばいばい……!」
妖猫「さよなら……!」
KAEDE「メンバーの皆さんの無事を祈ります。」
ちょこぽよ「皆さんバイバイまた明日ぁあああああーー!!」
エリィ「皆さん、どうかお元気で!」
同じように次々とメンバー達がゲートから新境地へと旅立っていく。
気がついた時に残っていたのは、リリウムとグレン、エメラルド、ジグマ、シシャモの五人だった。
エメラルド「最後は俺らか……。」
シシャモ「三人でまた伝説を作りに放浪するかな。」
ジグマ「だってルナリア三銃士!魔兎の脅威を二度も止めた!」
シシャモ「じゃ。」
エメラルド「二人とも頑張れよ!」
“ルナリア三銃士”は、冒険に出かける時のようにわいわいとゲートをくぐっていく。
ジグマが、ゲートをくぐる直前で。リリウムとグレンの方を振り向いた。
ジグマ「リリィ、今までありがとう。あまりグレンを困らせちゃダメだよ。グレンも。これからリリィの事をよろしく。」
リリウム「ジグ……!」
リリウムが、ジグマに抱きつこうとする。その時には、彼はゲートの外だった。
リリウム「あ………」
リリウムは、ただ手を伸ばして立ち止まっていた。
すると、ぎゅっと抱かれ引き寄せられる。
グレン「これからは俺がいるじゃないか。」
そこにはグレンが、リリウムにキスを仕掛けてきた。
リリウム「ぅ……。」
二人は妖艶に舌を絡ませ、お互いの顔が火照るまでディープキスを交わす。
グレン「……ね?」
しばらくするとグレンは、優しくリリウムから口を離した。
リリウム「うん……。」
リリウムの頰は、香り高い満開のバラのように染まっていた。
グレン「じゃあ……行こうか。」
リリウム「……行くの。」
二人は目と目を合わせてうなづいた。
そして、ゆっくりとゲートを潜っていった。
二人の通った後のゲートはビビッドピンクに染まり、装置も赤くなるほどに熱を発す。
そして、プシュー……という音と煙を立てながら電源が落ちていった。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #110 

#110 取り押さえられたギルド

ルージュ「手を上げろ!リリウム・ノアールと凶竜グレン、及びVierge♀Cendrilon関係者!第三次魔兎騒動における罪の数々及び逃亡をほう助した罪で逮捕する!」
ルージュが、リリウムとグレン、そしてこの場に達に向かって手帳を開き、見せつける。
Flufly「探偵Flufly、見事犯人達を見つけましたぁ。」
超superKou「もう逃がさない!フォォオオオオオッ!!」
いつしか出てきた自称探偵や、超superKou
メンバー達「!!」
この場にいる者達は、薄々こうなる事も気づいていた。しかし、それを目前とした今は、驚くしかない。
ザクロ「お前ら俺を女だと思い込んで気づかなかったりおすすめの店を覚えてなかったからって取り押さえて写真を撮りうpしたり七味と一味を混ぜたダシを飲ませたり俺を振り回しまくったな!」
何故かそこには、この場に何の関係も無さそうな、ゴリラのような容姿の男もいた。
グレン「ごちゃごちゃうるさいな。」
グレンは重力を操り、押しかけてきた警隊やわけのわからない者達を次々に押しつぶした。
グレン「あとそこのクソゴリラ。」
グレンはザクロに近づき、首元を掴んだ。
ザクロ「だからゴリラ言うなし。その仮面をはいだ後にしかるべきところに連れて行くぞ。」
それに対し、抵抗を見せるザクロ。
グレン「それは、今ここで言うな♡」
グレンは、にっこりと微笑む。そして、ザクロを遠いお星様の彼方へと飛ばしてしまった。

***

ザクロ「……あれ、今まで俺は何をしてたんだ?」
気がつくと彼は、見慣れている街中にいた。
少女「見つけたの。」
青年「ね。さて、マグナム、マイクロウージー、トリプルショットガン、レールガン、ナパームガン、スローレーザーガン、ロケットランチャー、ホーミングレーザーウェーブ。どれがいい?お望みの銃で殺してあげるからな。」
ザクロの目の前では、見たことのあるような人物二人がニコニコと笑みを浮かべている。緑の髪が特徴的なゴスロリ少女と、恐らく二十歳は超えている青年だ。
ザクロ「お前ら今すぐしかるべき場所に……」
青年「じゃあレールガンでいいや。」
ザクロ「マジでやめろ……やめて……」
ザクロは逃走しようとした。
ザクロ「………!」
しかし、次の瞬間にはスマートに撃たれていたのであった……。
少女&青年「ククク……」







ーHAPPY ENDー

















***

グレン「ふむ、始末は完了した模様かな。」
グレンは、天井の方を向いた。
リオンも、恋人の正位置のカードを引く。
リオン「占いによるとリリィとグレンのような仲睦まじい破天荒な二人に殺されたらしい。」
グレン「俺ら似か、よかった。」
リリウム「とりあえず茶番は終わらせて早く逃げるの!みんな!」
『はい!』
リリウム「恐らく最後のミッション……みんなついてこいなの!」
グレン「敵は責任を持ってリリィと俺が潰していく!だから皆安心して逃亡に臨むのだ!」
ジグマ「俺も時間を少しだけど止めていくよ!」
リリウムとグレンを筆頭に、会場で出迎え会を行っていた仲間達はギルドから駆け出すのであった。
《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #109  

#109 おかえりなさい

~Vierge♀Cendrillon 地下ホール~

目の前には、リリウムとグレンを出迎えようと十数名ばかりの人がいた。
ギルドメンバーはもちろん、その中には夜霧やももか、更に外部からも何名か来ていた。
リリウム「みんな……ただいまなの!」
ジグマ「大変な中無事帰って来たね、リリィ。グレンもお疲れ様。」
ジグマは、リリウムの頭を撫でた。
KAEDE「二人とも国中では指名手配犯だけど、ここにいるからには告げ口はしないから安心してね。あ、ここにある花は僕のお店で用意したんだ~。よかったらもらって。」
花屋を名乗るKAEDEは、手に持っていたカサブランカのブーケをグレンに渡した。
グレン「ありがとう。そうか。」
リリウム「りりの名前の花なの。」
リリウムとグレンがブーケを見つめていると。
KAEDE「運命を共にする二人にはぴったりの名前だよ。」
KAEDEは、そう言っておちゃめにウィンクした。
リリウム「そんなやめるの。ちっとも可愛くないの。この欲まみれの花売りが!!」
リリウムの言動がKAEDEに突き刺さる。
KAEDE「がびん。……(流石リリウム様、ウワサ通りの酷さ」
KAEDEは、ショックにより石化してしまった。
エメラルド「全く…しょうがないな。」
エメラルドは、金の針を取り出しちょいとKAEDEの身体をつついた。すると、勢いよく表面の石が砕け、中から生身のKAEDEが出てきて復活した。
KAEDE「ありがとうございます……。」
エメラルド「うちのリリィが失礼しました。」
そうしてエメラルドとジグマの視線が、リリウムに向けられる。
リリウム「エメもジグもどーしたの。」
グレン「リリィ。流石にそれはな。」

***

黒猫魔「リリィさんが帰って来て良かったです。」
リン「本当だにゃー……。」
妖猫「にゃあ……。」
猫チームも、三匹のほほんとギルドマスターの帰りを喜んでいた。
リン「前からだけどりりしゃ指名手配だって。」
黒猫魔「むしろ、今までの悪行で捕まることが無かったのが私にとって不思議で仕方がない。」
妖猫「リリウム・ノアール。ノアール家の令嬢で現在はVierge♀Cendrillonのギルドマスター。かつて、ルナリア第ニ次魔兎騒動で猛威を振るった『魔兎』張本人。……。」
シシャモは、妖猫を抱き上げる。そして、妖猫の話をこう続ける。
シシャモ「騒動が鎮まってからもルナリアで度々悪行を起こし、その悪名は誰よりも有名である。そのためノアール家の名も汚し、保護観察役はジグマに託される。彼女の気まぐれでVierge♀Cendrillonが建ってからは、一風変わった数々のクエストの功績を上げ、注目のギルドとなる。使いに凶竜を迎えてからは、さらなる悪事や不祥事などで、更に名が知られる。凶竜の不祥事事件が起こってから数ヶ月、今回の『第三次魔兎騒動』。再び魔兎として多大なる損害を及ぼす猛威を振るう。街は奇跡的に復活するも、その猛威は歴史に刻まれることとなり、それが引き金で凶竜と共に指名手配となった……。」
リン「りりしゃ……。」
黒猫魔「こうなれば、ギルドも閉めるしかないですね。」
エリィ「はい、実際毎日のように、このギルドにもデモが押しかけて来たり、抗議の電話や手紙が大量に届いていますから……。」
エリィは連日の対応のせいか、目にはクマが出来てひどく疲れた様子だ。
シシャモ「皆も分かってるな……。このギルドにいる以上はルナリアを出なければならない。」
シシャモは、憂げな表情を見せていた。
リン「私は、ソルリーの知り合いの所に行く。」
エリィ「私は、マーティル地方のハルドゥー村の実家へと里帰りします。」
黒猫魔「私は、リオンさんと共にグラシールの森に占い館を建て、隠居する気でいますよ。」
妖猫「リンさん、ついていっていい……?」
リン「もちろん!」
それに対して皆は、方向を既に決めているようだ。
それを聞いて彼は、少しは安心した。
ただ、残る問題はというと。
シシャモ「リリィとグレンはどうするんだろうな。今回の惨劇でその悪名は他国にも広がっていると聞くからな……。」
シシャモは、リリウムとグレンの方を見つめていた。
ギルドに帰還し出迎えられるあの二人は、騒動が起こる前のように仲間たちと楽しく過ごしている。その幸せも、もうすぐ、もう……
その時だった。
突然、バンッ!と音を立てて勢いよく扉が開く。即座にたくさんの警隊に囲まれ、その場は取り押えられてしまう。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #108 

#108 帰還

超superKou「さぁこの超superKou様が現れたからには魔兎と凶竜を逃がす訳にはいかない!!皆一致団結し、奴らを捕まえようーーー!!」
そう言って超superKouは腕を上げる。すると、地上の民衆の士気もみるみるうちにぐいぐいと上がる。
『おおおおおおおおぉぉぉぉぉーっ!!』
そして地上からは、暑苦しい程の体育会系オーラを纏った威勢のいい、大きな掛け声が返ってくる。
同時に民衆が掲げる手には、物魔遠近大小様々な武器が持たれていた。
その一方。
グレン「こいつら……何やってんだか。」
リリウム「きっと虫けらのざわめきなの。さっさと行きましょ」
リリウムとグレンはそれを見て余裕な表情で、完全に馬鹿にしていた。
そして、面倒になる前にすーっとその場から立ち去る。
それに気づかないこちらも、盛り上がりが最高潮に達している。
超superkou「さぁ行け!ルナリアの戦士達よ!世界を!何よりこの街を滅ぼしかねない害悪共を捕らえ、やっつけよ!!」
『うぉああああああああああああああああああ!!!!!』
超superkouの一言で、地上の民衆は一斉に走り始めた。
それを眺める空の上。彼は一言。
超superkou「ふぅ。じゃあ僕はしょたとでーとしてきます。おつかれ。」

***

~Vierge♀Cendrillon ギルド~

リリウムとグレンは、素早く逃げた事がよかったのか、何事もなくギルドに辿り着いた。
二人はほっとする時間も無く、すぐに扉を開いて中に入った。
リリウム「ただいまなのー。……ってあれ。どういう事?」
いつも賑わったりくつろいだりしていた、ギルドの中には誰もいない。それどころか、家具も何もなく、引っ越し後の空き家のようだ。
グレン「誰もいない……ん?」
グレンの視線の先には、一匹の黒猫がいた。
黒猫は、こちらの視線に気づくとこちらをじっと見つめる。少し見つめた後、素っ気ないように奥の方へと歩いていく。
グレンとリリウムは、棒立ちしたままその姿を眺めていた。
すると黒猫はこちらを振り向き、そのままぴたりと動きが止まる。
リリウム「もしかしてついて来い、って事なの?」
リリウムがそう言うと、黒猫は小さくうなづいた。
リリウム「どういう事なの……でもりりのギルドが突然こうなるのもおかしいの。グレン、いくよ!」
グレン「うん。」
そしてリリウムとグレンは、黒猫の向かう方へと歩き始める。
黒猫は二人を確認すると、またてくてくと歩き出した。
そうしてやって来たのはギルドの地下。
暗い廊下を進んだ先。あるドアの前で黒猫はこちらに目を光らせて立っていた。
リリウム「地下ホール……。ここに入れというの。」
リリウムは、そう言いながらドアを開いた。
すると、パン!と音を立てながらクラッカーが発射された。
「リリィ、グレン!おかえりなさい!」

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #107 

#107 戻ってきた平和

リリウム「うーん……。」
リリウムは、目が覚めた。一面緑の草原に囲まれた大樹の下で。
グレン「グゥ………グゥ………。」
グレンは、リリウムを乗せたまま眠っていた。
吹いてくるそよ風が、気持ちよくリリウムの頬をさする。二人を真上で見守る大樹の葉は、風に揺れて爽やかな音を鳴らす。
リリウム「グレン、起きるのー。」
リリウムは、グレンの体から降りる。そして彼の身体を激しくゆさぶる。
グレン「グゥ………ん………。」
グレンは目覚め、一回大あくびをしてから体を起こした。
風に吹かれながら、ふとリリウムは思う。
リリウム「グレン、りり達死んだのかな?」
グレン「んな訳無いだろ。ちゃんとこの大地に足をつけているではないか。それに死んでいた らこの風の心地よさ、太陽の暖かさも分からないよ。」
グレンはそう言うと、間尺もなくリリウムの唇にキスをする。
リリウムは、胸がドキっと打たれるような感覚がした。
リリウム「っ……。」
グレン「ふふふ。」
驚いた様子のリリウムを見て、グレンは微笑む。
リリウムは、頬を膨らませて照れた。しかし、すぐに。
リリウム「そーいえば……ルナリアはどーなっているんだろ……。」
彼女は、自らは狂気に侵食されてよくは分かっていないが、確かにこの手で壊したような気もするあの街の惨事を、少しだけだが覚えていた。その街が、今はどうなっているのかが気になるようだ。
グレン「じゃあ……見に行く?」
グレンが、早く乗れよと言わんばかりに腰を下ろす。
リリウム「うん。」
リリウムは、ぴょいっと彼の背中にまたがる。
グレン「じゃあ……行くか。」
グレンは、リリウムが自分の体にしっかりまたがったことを確認する。そして二人は、緑の中から、ルナリアを目指して飛び立つのであった。

~ルナリアの街~

しばらく飛空していると、あの街並みが見えてきた。
まるで時間が巻き戻ったかのように、元通りになっているのが遠目でも分かる。
グレン「ルナリアだな……。」
しかし、グレンの表情が浮かない。
リリウム「どうしたの。」
グレン「いや……。この前の事があったからな。今更俺が受け入れてもらえるだろうか。悪名高き凶竜がな。」
そう言われればリリウムにも、思う節があった。
リリウム「うん……。りりも二度目……。前の時はシシャモがなんとかしてくれたけど、今度も上手くいくかな……。」
二人は、不安を抱えながらその街へと入っていくのであった。
一方。
ルナリアの街中では。昨今の騒動が起きる前のように、メインストリートでは太陽の下で露店が並び、たくさんの人が往きかっていた。かつての荒れ模様なんて全く感じさせない程に、活気を取り戻している。
そこへやって来た竜の影。それに誰よりも早く気付く者……。
リク「来たぞ!凶竜が!!」
リクの一声で、皆が凶竜の姿を見る。その直後。
平和な街は一気に喧騒へ。ある者はパニックになり一目散に逃げようと、またある者はとっさに武器を構えて戦おうとそれぞれが、乱れる人の波に揉まれて混乱状態である。
グレン「やはりか。」
リリウム「だね。」
二人は、所詮は雑魚どもの騒ぎだ、とのんきに眺めていた。地上からは、竹槍やら銃弾やらいろんな物が二人に襲いかかるのだが、届かなかったりかわしたり。そもそもハズレ弾やろくに飛ばない弾が多数を占め、グレンが竜の炎を一発浴びせてやる気にもならない。
二人は、無力なルナリア市民を完全になめていた。すると突然。
超superKou「おっと見つけたぜ指名手配犯リリウム・ノアールとその凶竜ぅぅぅううううううううう!!」
街中に聞こえる程、迷惑になりかねない大音量で、DJ風の叫び声と、いかにもパーリーピーポーが寄ってたかりそうなEDMミュージックが流れ始める。
と、同時にそれまでの喧騒が一気に歓声へと変わった。
派手な衣装を纏い、黄金の飛行スクーターで飛んでくる男。
「超superKou様ァァァァァアアアアア!!」
地上からは、一気に彼に目線が向き、歓声が上がっていた。まるで突然始まった路上パフォーマンスのようである。
超superKouは、歓声に応えるように手を振っていた。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #106 

#106 月光石の希望

地下奥深くでは、強大な光に貫かれた魔女が苦しみにもがいていた。
チルリータ『(ぐっ……痛いっ……!身体の芯から焼かれそう…………!…………!?)』
彼女は、ふと胸の中に空虚感を覚えた。
さっきまでとは何かが違う。自らの心を癒していた大切なものが、ぽっかりと抜け落ちている。その突然の寂しさが彼女の心までも襲う。
チルリータ『(うぁ………。嫌よっ……!こんなの嫌嫌嫌嫌嫌ぁあああああああああ!!!)』
やけになって伸びた手が、周りの壁にぶち当り、次々に壊していく。
ズゴゴゴゴゴゴゴ……。壁面が崩れ落ちていく音。それはまるで、彼女の精神状態を現しているようである。
チルリータ『(うぁあああああああああ……!ああぁっ…………!)』
どんどん壊されて崩れ落ちていくばかりの空間。もはや自己コントロール不能状態の彼女。
すると。
チルリータ『(ぐっぅうううう………!)』
そんな彼女を、「落ちつけ」と言わんばかりに何かが貫いていった。
それはとても痛かった。しかしその後、今までの錯乱状態はなんだったのだろうと思うほど、彼女の心がすっと鎮った。
「こっちを向けよ。」
彼女に語りかける優しい声。
チルリータ『(…………?)』
惹かれるようにそちらを向くと、白く輝く竜の姿。
チルリータ『(グレン……!)』
目の前に現れた憧れの存在。魔女はその黒き腕を震わせながら、まるで食べ物を乞うかのように伸ばす。
自らの手で掴もうとする。するとそれは、するりとそこから逃げていく。
チルリータ『(あぁ……っ!)』
チルリータは、竜の逃げた方を向いた。
しかしその竜は、辺りを見渡しても見当たらない。
そして彼女は、落ち込んだ。
グレン「そんなに落ち込むなよ。魔女チルリータ。」
優しく語りかけるグレンの声。それは、彼女の心の中から聞こえてきた。
チルリータ『(グレン……ひどいよ……っ!)」
チルリータの不気味な瞳から、涙が流れ始める。
グレン「おいおい泣くなよ。せっかく振り向いてやったのによ……。」
チルリータ『(それならもっと早く振り向いて欲しかった……。)』
グレン「本当に今まですまなかったな……。」

***

チルリータが次に、ふと顔を上げると。いつの間にか周りの風景は、優しい光に満ち溢れている塔の中になっていた。
その暖かな光の先にいるのは、彼女に両手を伸ばすグレン。
グレン「さぁ、おいで。」
彼の優しい笑顔に、チルリータは飛びつきそうになった。しかし、ふと覚える自らの醜い姿が彼女の足を止める。
チルリータ『(私……こんな……姿……。)』
グレン「そうだったとしても今はいいんだ。自分の姿を見てごらん?」
グレンに言われるがままに、自らの姿を確認するチルリータ。それは、激情し、黒き魔女と化してしまう前のように、ピンクのローブを纏っていた。
その桃色を見ると彼女は、どわっと涙を溢れさせながらグレンの胸へと飛び込む。
チルリータ「グレン……!私っ……私っ……っ!」
グレン「いやいや、もういいんだ。俺も今までお前を弄んでしまっていたからな……。」
グレンは、自らの胸へ顔を埋めているチルリータを優しく撫でる。
チルリータ「ううん……。それにもう、グレンはあの子を選んだんだから……。」
グレン「察してくれてたのか……意外だ…………。」
グレンは、チルリータをぎゅっと抱きしめた。
この時のチルリータの中にはもう、悲しさも妬ましさもなかった。恋勝負の負けを悟ったのだ。それどころか、今こうして憧れの竜に抱かれている事に、とても心が満たされている。
夢のような時間だった。しかし、それもすぐに過ぎ去る事になる。
グレン「…………そろそろお別れだ。」
突然グレンが、チルリータから体を離す。
チルリータ「えっ……。」
チルリータは、急に寂しさを覚えた。
グレンは、今度はさっきとは一変。厳かな声調で彼女に語りかける。
グレン「お前には、償わなければならない罪がある。そしてこれからは、新しい世界でその罪を償うのだ。こんな俺が言えた事でも無いがな……。」
チルリータ「そ……それってどういうこと!?怖い怖い怖い怖い……!」
真剣なグレンの表情に、チルリータは恐怖を覚えた。
グレン「大丈夫だよ。俺たちがちゃんと送り届けるからさ……。」
最後に聞こえた彼の声の後。また元の暗闇へと戻っていた。

***

リリウムとグレンは、チルリータに対し高度を取っていた。
グレン「チルリータの事はもう大丈夫だ、行くぞ。」
リリウム「うん。」
二人はお互いに目を合わせた。
リリウムが、念を送りながらムーンライト・トパーズを握りしめる。
すると、その中から光が溢れ出し、チルリータの方へと幾多もの線が伸びてゆく。
水色に輝くその光は、黒き魔女の身体を包み、天から地へと繋がる一筋の道を編み出した。
リリウム「凶を絶ち、魔を鎮め、黒き物をも優しく癒して赦す月の光────闇に飲まれし魔女よ、今その光に導かれん!!」

『秘伝輝石魔法Ⅺ《ムーンライト・トパーズ・エスペランサ》』

太陽にも劣らない程の強大な光源が魔女にぶつかる。その後、そのあまりにも強大すぎる光が外へと溢れ出し、そのまま世界を丸ごと包みこんだ。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #105 

#105 天使の命

グレン、夜霧、ももかの3人は、間近に落ちた稲光に目がくらんでしまう。
しばらくして。視界が晴れた時だった。
目の前には、ホタルのような淡く優しい光。その先には、白衣の少女の天使のような笑顔……。
そう、リリウムは復活を遂げたのだ。
グレン「リリィっ!!」
グレンはそれを確認するや、リリウムの胸元に飛び付いては顔をうずめる。
リリウム「グレン……。声、ちゃんと届いたの……。」
リリウムは、涙を流しながらグレンの頭を撫でた。
夜霧「良かったな……。」
夜霧は、今まで生きていた中で一番であろう笑みを零していた。そして、自らと信じていた伝説に過ちがあった事を悟った。
ももか「ちぇっ……。」
ももかは、自分が冗談で言った事が本当だったのが面白くなく感じていた。しかし、これはこれで良かったのかもと感じてもいた。
リリウム「さぁ、ここから出るの。グレン……いい?」
リリウムは、上を指差した。
グレン「こんな所からは早く出ようか。」
グレンは、ご機嫌るんるんで竜の姿へと変化し、乗りやすい様に姿勢を低くした。
リリウムは、彼の背中にぴょいっとまたがる。
リリウム「そこのお二人さんも乗るの。」
リリウムが、早く早くと手招きする。
夜霧「おう……。」
ももか「いいの!?」
夜霧とももかも、グレンの背中にまたがる。
リリウム「しっかり捕まってるの……。グレン、Are you ready?」
リリウムとグレンは、お互いの目線を合わせる。
グレン「……Yes.」
グレンは呟いた。すると、彼の身体が白く輝き始める。その姿は、天に仕える光の竜そのものである。
そして、光の線を引きながら天高く舞い。
あっという間に魔女の身体を貫いて、そのまま地下から抜け出し、灼熱地獄である外へと出た。
ももか「あっと言う間に外に出た!」
ももかは、興奮し、
夜霧「これじゃあ俺は到底敵わないな……。」
夜霧は、苦笑いしていた。
グレンは、夜霧の方を向く。
グレン「なぁ、夜霧?」
夜霧「何だ?」
グレン「女を連れて出来るだけ遠くへ離れてくれないか。あ、リリィじゃない方な。」
夜霧「分かった……。」
夜霧は、姿を変えようとした時だった。
グレン「ちょっと待て。」
グレンは彼を、突然呼び止める。
夜霧「何だ?」
グレン「トパーズはリリィに渡せ。お前持ってるだろ。」
夜霧は、ムーンライト・トパーズは鍵に使ったから自分が持っている覚えは無かったが、コートのポケットに手をいれてみた。何か入っていたから取り出してみると、手の中には、何故かムーンライト・トパーズがあった。
夜霧は、それをリリウムに渡す。そして不死鳥の姿に変わり、宙に舞う。
ももか「私、これに乗ればいいの?」
ももかは、夜霧を指差した。
リリウム「うん。」
リリウムがうなずくと、ももかは夜霧の背中に飛び移る。
夜霧「しっかり捕まれよ……。」
そして、ももかを乗せた夜霧は遥か彼方へと飛び去っていった。
リリウム「さて、りり達は最後の一仕事なの。」
グレン「だね。行こう。」
リリウムとグレンは、もう一度あの魔女の元へ向かうのであった。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #104 

#104 『真実の愛のキス』

~魔女の内部~
ももかは、魔女の内部に入り込んでいた。
中は、黒くどろどろとした物が溶けており、気味の悪い湿り気と空間の歪みが蔓延っている。
ももかは、その中に飲み込まれないよう、フットワーク軽くさっさと進んでいた。
ももか「お姉様は内部まで汚れてしまって……。こりゃ始末するしかないわねぇ……。ありゃ?」
しばらく進んでいると、下には人影が。倒れている少女に、男二人がついている。
ももか「あれは誰だ……?何があったんだろ。」
ももかは、空間を渡り歩き、興味本位に近づくことにした。
ももか「すみませーん……ってえぇ!?」
ももかは、場違いな空気に思わず押し返される。それ以上に驚いた事は……。
ももか「あのリリウム!?ここでまさか会うなんて。」
ももかは、訳を分かっていなかった。しかし、すぐに黒い兎の耳に気づく。
ももか「噂にはあったけど……もしかして魔兎=リリウム?」
沈黙が流れる。
すると、リリウムの側で泣いている男が、こくりとうなずいた。
その男は、まるで竜のようなツノや翼、更に尻尾がついている。
それを見て、ももかはまた察する。
ももか「てかさ、最近ルナリアで話題になってた凶竜って……もしかしてあんたのことなの?」
凶竜は、涙を流したままだった。
が、少しすると重い口が開く。
グレン「……そうだが……。」
ももか「へぇー……。そーなんだぁー……。」
ももかは、見世物を見るような目でグレンを見ていた。
グレン「そんな目で見るな……。」
グレンは、ももかをギロリと睨みつける。
夜霧「彼は愛する者を失い悲しんでいる……。分からぬのか……。」
ももか「そっかぁ……。」
夜霧に言われて、ももかは考えた。しかし、気まぐれに悪戯をして生きていた彼女にはいまいちわかるものではなかった。
しかし、小さな頃に聞いたことがあるような、ある考えが彼女の脳裏に浮かんだ。
ももか「ねぇ……。こんな事誰も信じないと思うけどさ、キス……してみたらどうかなぁ?『真実の愛のキス』。」
グレンと夜霧は、そっと顔を上げた。
ももか「そうだよ。誰もが一度は聞いた事のあるお話。あんたたちにも分かるかな?」
夜霧「確かに、その話は有名だな……。呪いを掛けられ永遠の眠りについた姫が、王子の愛のキスによって目覚める話……。でも、今この場でそんな事あり得るのか?」
夜霧は、いまいち信憑性に欠けると首を傾げた。
ももか「えへへ……。」
ももかも、軽い気持ちで冗談半分に言っていた事であった。
しかし。
グレン「やって……みよう……。」
グレンは、そっとリリウムの顔に自分の顔を近づけた。
ももか「ほぇ?」
この場にいる者達に見守られながら。グレンはリリウムに、そっと言葉をかけ始める……。
グレン「リリウム様……いや、リリィ。本当にすまなかったな……。凶竜で自分の主だと言うのに、俺は自分の欲しか考えていなかった……。こんな俺は使い竜失格だ。でも、俺はお前を一目見た時に、可愛さ故の欲望と共に、お前にかけられていた呪いに気付いていた。そして言えてなかったのだが、その呪いは俺に解ける物かもしれないと魂の中で感じたんだ。だから、契約が結ばれたのだと今は思う。それに、塔で一人孤独だった俺にとって、リリィはかけがえの無い存在だ。一緒にギルドで過ごした時間は、俺が生きた時間長い長い時間の中ではほんのひとかけらだったし、決していい事ばかりでは無かった。けれど、俺が一人で過ごしていた空白の時間よりはとても充実した、大切な時間だったんだ……。今はお前をただの欲には見ていない。もし、これからも一緒に居れるならお前の事もちゃんと考えて、精一杯尽くしたい。ちゃんと愛したい。

こんな事言っても……お前は還らないとは思うが…………。せめて最後の希望だ……。」

そう言うとグレンは、リリウムの唇に、そっとキスをした。これまでの何十倍も、何百倍も優しく。そして深く。
すると、グレンの口元がじわりと熱くなり始める。
グレン「………?」
最初は自分の熱かと思っていた。しかし、それは更に熱くなり、光まで発し始めた。
グレンはあまりの眩しさに、リリウムから離れる。
夜霧「何だっ………!」
ももか「ええっ………!」
周りにいた夜霧とももかも、驚きを隠せない。
そして、天から雷光が大きな音を立てて降り注いだ。
グレン「リリィ!?」

《続く》

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Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #103 

#103 魔兎の死

一方、魔女の内部の異空間は。
さっきまでの夢心地の風景とは一変。あちらこちらが崩れ、黒く溶けかかり、重力が渦のようにねじれている。
夜霧「くっ……!早くここから出なければ……!」
グレン「落ちつけ。今無闇に動くと飲み込まれてしまう。それに俺がいるからここは大丈夫だ。」
グレンは、自分の身の回りの重力のコントロールを施している。
夜霧は、それよりも早く突破口を見つけて抜け出したい気持ちでいっぱい。心では分かってても落ち着けない。
すると、天から白く輝く星のような何かがこちらに向かって落ちてくるではないか。
グレン「何だ?夜霧、ここにいとけ。」
グレンは、そう言うと上に向かってゆっくりと飛び始めた。
対象に近づくと、それは人影……。兎の耳が生えた小さな少女だということが伺えた。
グレン「リリウム様……。」
グレンは、降ってくるリリウムをそっと受け止めた。
抱かれた彼女は、息の音が止まっていた。触れている肌も、まるで氷のように冷たい。
グレン「嘘……だろ。」
グレンは、ほろりと言葉を吐くと、ゆっくりと下降した。
そのまま、そっとリリウムを地面に置く。そして、自分も地面に両手をつけて彼女の方を向いて止まった。
夜霧「グレン……どうした……。」
グレン「…………。」
グレンは、哀愁を漂わせたまま沈黙している。
ポタッ……。リリウムの頬にゆっくりと涙が滴る音が、静かな空間に微かに響く……。
グレン「…………っ。…………っつ……。」
グレンの瞳からは、涙がポロポロと流れている。
これには夜霧も、さすがに同情せざるを負えずに。
夜霧「残念だな……。」
小さな声で呟く。
そして、涙を流し続けるグレンの背中をそっと撫で続けた。
リリウムの安らかな眠り顔は、竜の涙でうるうると光っていた。


~その外側では~

『お姉様……。私は負けてないよ……!』
暗闇に響く狂気に満ちた声。
チルリータ『(誰だ………!)』
チルリータが、唸り声を上げながらその声のする方を向く。
そこには、なんと死んだはずであろうももかがいた。目は鋭く紅く輝き、視線は剣(レーヴァテイン)のように魔女を刺している。
チルリータ『(貴様……まだ生きていたのかァ……!!)』
チルリータのおどろおどろしいうめきが、場内に響く。
そのうるささに、ももかは耳を塞いだ。
ももか「お姉様うるさい。」
ももかが、親指を下に突き立てる。
チルリータ『(それよりここまでどうやって来たァ!!)』
チルリータが、更に大音量でうめき声を上げる。
ももか「だからうるさいって言ってんだろクズ。……あら、お姉様は黙ることを知らなかったか~。きゃははっ。キモーイ。」
ももかは、口に手を当ててチルリータを罵った。
チルリータ『(黙れ!!)』
チルリータが、波動をももかに向かって放つ。
ももか「お姉様って本当馬鹿。ーレーヴァテインー」
紅のレーザー剣が、チルリータの身体を切り裂く。
チルリータは、声を上げて自らの身体を再生する。
しかし、次の瞬間には、ももかの姿はどこにも見当たらなかった。


《続く》

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