FC2ブログ

箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --    

Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #95 

#95 黒兎の少女と地の迷宮回路

───???

そこはどこよりも暗く、深い地の中。
黒兎の少女は、どこまでも堕ちていき、どこまでも進んでいく。
しかし、そこは冷たくもただひたすら、同じ景色が広がるだけの迷宮回廊であった。少女が『探し求めるもの』など、何処にあるかも検討がつかない。
それでも少女は進み続ける。奥へ、奥へと。もう元来た道も分からない。それにも気づく事なく、一体どこまで進み続けるのだろうか。
幾多もの時間が流れ、深い深い回廊の奥へとどんどん突き進んでいく。
すると、目の前に大きな両開きの扉が現れた。そこには、嵐の中の塔の周りを竜が舞う絵が描かれており、それぞれの扉で左右の絵柄が鏡のように反転している。そして少女の目線辺りには、何かをはめ込むためのくぼみがある。
少女は、そこに右手を置いた。
すると右腕に彫られた刻印が光り出し、魔法陣が輪廻する中で深い青のラインや紋章を描きながら指先へと伝わる。その指先から光の流動体が流れ、くぼみを満たしてゆく。
くぼみがそれで満たされた時、魔法陣が現れ、くぼみに溜まったものが渦を描いて廻り出す。
そして、闇に微かに輝く深い青の宝玉が現れた。
重い扉が、石を擦り合わせる音を立てながらゆっくりと開く……。
扉が開いた後、少女が一歩足を踏み入れた時だった。
少女は声もあげる間無く、扉の先へと吸い込まれていく。なす術も無く下へ、下へと落ちていく。更なる黒闇へと真っ逆さまに。
魂も抜けそうなふわっとした感覚。それは、ふわふわした温かいものに受け止められる……。

気がつくと、紅が闇を照らす広いホールの中で黒竜がこちらを見つめていた。
『やっと会えたな……また。』

《続く》
スポンサーサイト

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

TB: --    CM: 0   

Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #94 

#94 荒野の火の鳥

夜霧「───すぐに向かおう。」
夜霧は、サッと立ち上がる。
モモ「はい、これ。」
モモは自分の手のひらを、彼の手のひらにかざした。
彼女が手を離すと夜霧の手のひらの上で、ムーンライト・トパーズが薄暗い静寂の中、その輝きを見せるのであった。
夜霧「ムーンライト・トパーズ……。」
夜霧は、その石に吸い込まれそうになるほどそれを見つめていた。
モモ「銀月にお願いして、取り外してもらったわ。」
モモは、微かに微笑んだ。
夜霧「……すまないな。」
夜霧は、ムーンライト・トパーズを握りしめて歩き出す。
モモは、その後を追い彼のコートをちょんと掴む。
モモ「あ、待って。」
夜霧「……なんだ。」
モモ「行かせて……。」
モモは、夜霧の瞳をじっと見つめている。
夜霧は、そんな彼女を置き去りにして先へ先へと進む。しかし、しばらく進んだところで立ち止まり、モモの方へ戻る。
夜霧「すまぬ……と言うところだが……。お前だから行かせよう……。」
夜霧は、モモに手を差し伸べた。
モモ「ありがとう。」
モモは、その手を取った。のだが。
モモ「ねぇ夜霧。このまま歩いていくつもり?山脈やバベルの塔辺りは溶岩地獄なんだよ?」
夜霧「心配は無い……少し離れるんだ。」
夜霧は、そう呟くと手を顔の辺りに構えた。
モモは、分からないがままに夜霧から距離を置く。
夜霧「ハアァァァァァァァ……ッ!」
夜霧は、顔の辺りと胸の辺りに置いた手を円を描くように入れ替えた。
すると、陰陽玉を描いた魔法陣が現れ、紅の光彩を放ちながら夜霧の身を包む。それは、炎に包まれるようである。
その後、卵から生まれるように鳥の羽が羽ばたく。やがてそれは、立派な火の鳥の形と化した。
モモ「不死鳥(フェニックス)……。」
モモは見とれ、空いた口からはホロリとセリフがこぼれ出した。
火の鳥と化した夜霧は、凛とした構えで彼女の方を向いた。
夜霧「──さぁ魔女よ、我の背中に乗るがよい……。」
モモは、しっかりとした顔つきでうなづくとすぐに彼の背中に乗った。
夜霧「よし、決して離すなよ……。」
そう呟くと、夜霧は空気を切り裂くように飛翔する。
あの竜が待つ、崩れた火の塔へ。自らが信じる終焉を止める為に───。


《続く》

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

TB: --    CM: 0   

Vierge♀Cendrillon~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #93 

#93 『夜霧』と『紅蓮』

少女「………!」
少女は突然の出来事に、呆然としていた。
男「現われたか『瑪瑙の不死鳥(オニキス・フェニックス)』。」
男は、夜霧に向かって狂気を感じる笑いを見せていた。
夜霧「───『重力を捩じ曲げ滅亡へと導きし凶竜』紅蓮……貴様の好きにはさせぬ……。」
夜霧は、その男……紅蓮=グレンに剣の刃先を向ける。
グレン「そんなに俺のやってる事を止めたいのか。不死の炎の言い伝えとかいう妄言に動かされたまま?」
グレンは、必死な夜霧を小馬鹿にして鼻笑いをした。
夜霧「───お前こそ分かっていない……。その魔兎の少女とお前が交われば……。」
グレン「物が通じないお前には関係ない。それに今ここで暴れたら……ここにいる少女が死ぬぞ?」
グレンは、自分の側にいる魔兎の少女……リリウムの頭を軽く叩いた。
夜霧「────!」
夜霧は、二人に向かって紅と黒の刃を振り下ろす。
グレンはリリウムを大切に抱え、それをさっとかわした。
グレン「リリウム様……殺っていいですよ。」
グレンが、リリウムに優しい声でささやく。
リリウムは、言われるがままに片手を前に出し、黒い粒子の波を夜霧に向かって放つ。
夜霧もまた、無言でさっとかわす。そして再び、二人に向かって刃を振り下ろそうとした時だった。
夜霧「…………っ!?」
目の前一体が、闇黒に染まっていた。
夜霧「断ち切る……!」
夜霧は、二つの刃を振るいそれを払おうとする。
しかしそれは、ざわざわと耳障りな音を立てたまま彼を包み、まとわりつき、体内に入り込み、意識さえ侵食していく。
夜霧「くそっ……!」
夜霧の意識が闇に消えていく中、奴の声は彼にこう吐き捨てた。

『お前……必死になればなるほど盲目になるのだな。その傾向が昔から人一倍強い。そんなに止めたいのならば頭を冷やしてからくるのだな……。』

***

「夜霧……!夜霧!」
聞き覚えのある声。ゆっくりと開かれる視界に見えるのは、桃色の魔術士の姿。
モモ「よかった……。」
モモは、安堵の表情を見せている。
夜霧は、辺りが静かなことを確認した。
夜霧「あぁ……。それより、魔兎は?」
モモは、夜霧が黒い茂みに突っ込んでからの事を簡潔に話した。
モモ「あれから私だけ、逃げずに隠れて様子を見ていたんだけど。魔兎はしばらくの間もがき苦しみ、再度倒れてから、何かに取り憑かれたかのようにこの場から去って行ったわ。」
夜霧は、それを聞くとゆっくりと体を起こし、こうたずねる。
夜霧「その方角、分かるか……?」
モモ「……恐らく凶竜の元よ……。」
モモと夜霧は、あちらの方角を見つめた。


《続く》



category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

TB: --    CM: 0   

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。