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箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #73 

#73 タロット使いと魔兎

魔兎「グァアアアアアアアア………」
魔兎の意識は、リオンと黒猫魔の方に向いている。
リオン「相当暴れているようだな……。しかし、これはちょっとやり過ぎかと私も思う。」
リオンは、魔兎に語りかけるように言った。
黒猫魔「荒廃したルナリアもそれは素晴らしいけどにゃ。」
黒猫魔は、荒廃した街を見て少し満足そうだ。
リオン「まぁ、いい。リリィ、しばらく……私が相手になろうか?」
リオンは、自前のタロットを何枚か扇状に開いて見せる。
魔兎の瞳に、タロットの神秘的な絵柄が映る。そして、睨みつけると。
魔兎の巨体が、リオン目掛け音と砂埃を立てながら猛スライディングしてくる!
リオンと黒猫魔は、ひらりとかわした。
リオン「THE SUN〜イルミネートシャワー〜」
リオンがカードを天に向けると、魔兎に向かって眩い光の雨が降り注ぐ。
リオン「巨体ではかわせないだろう?」
魔兎の身体に、次々と光が染み込んでいく……。
魔兎は、身悶える様子を見せた。
魔兎「グッ………。………グァアアアアアアアア!!!!」
しかし、すぐにかき消され、代わりに大量の黒い鱗粉が放出された。
リオン「うっ………!」
リオンは、懐から防護用マスクを取り出して装着した。
黒猫魔「モイズド……湿気りにゃさい。」
黒猫魔は、杖を振りかざす。すると、辺りがじめじめとした湿気に包まれ、鱗粉の飛散が抑えられる。
魔兎も、突然のじめじめとした空気に心地悪そうにしている。
リオン「黒猫、サンキュー……。」
黒猫魔「呪縛する……。」
黒猫魔が魔兎に杖を振りかざす。杖についていたリングが、フリスビーのように飛んでいき、ロープのように魔兎の周りを囲むと、きゅっと縛りつけるのであった。
魔兎「ウグッ………!」
魔兎は、身体が麻痺したように動かなくなり、地面に倒れる。
リオン「更に力を増大……。太陽の光よ、魔兎を明るく照らせ。」
リオンがカードを巧みに操りながら呪文を唱えると、再び魔兎に光が降り注ぐ。
魔兎「グァアアア………ッグァアアア………!……ングゥウウウ………!」
魔兎は、目を開くのも辛そうな様子だ。
それを見て、リオンはふぅ、と一息ついた。
リオン「これで、倒せなくとも時間稼ぎになるといいのだが……。」
黒猫魔「本当ですね。しかし、こんなにあっさり………。」
黒猫魔は、悶える魔兎を哀れな様子で見ていた。
リオン「確かにな……。でもさ、あれはまだ本気は出せていないと思うんだよな…………。」
黒猫魔「にゃ、それは。」
リオンは、手元の力に注意しつつも語り始める。
リオン「私も前の魔兎騒動に立ち会っていたが。魔兎が暴走した時のエネルギーは、暴れ出した時には既に放出されているものの、どうも一部は体内に充満させるみたいなんだ……。そしてそれはやがて、身体となっている“本体”自身をも蝕む………。」
黒猫魔「言っている事がイマイチ分かりません。」
リオン「で、だな……。つまりは、早めに手を打たないとルナリアどころかリリィも危ないって事だ。その辺は、黒猫の方が長けてるんじゃないかな。」
黒猫魔「確かに。リリィさんの身体から、まるで湧き出るような強大な闇の力が……。」
リオン「それに今回は前の遥か上の規模だ。さっきの鱗粉の出方も、もはや鱗粉自体が怪物となりかける勢いだったぞ。」
黒猫魔「リオンさん?手元……。」
黒猫魔が、じろじろとリオンのタロットカードを見ている……。
リオン「!」


《続く》

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category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #72 

#72 暴れ狂う魔兎

〜荒廃したルナリアの一角〜
いつもは活気がよく明るい街並みも、今はガラクタの山と化している。空気も淀み、人の代わりに、黒くドロドロとした何かが徘徊している……。
そんなガラクタの物陰では冒険者が二人。まるで、角に追い詰められたようなネズミのようにびくびくと怯えていた。
隙間から僅かに見えるのは、禍々しいオーラと鱗粉を発している巨大な黒兎……。
斬識「なぁ……お前、あの真っ黒な兎倒せないか?」
斬識は、声まで震わせながら背中を押す。
シン「倒せる訳無いだろ……あんな化け物、身一つで行ったら死んじゃう。」
シンは、そんな無茶な話に当然応じられる訳もなく。
斬識「それで行ってこそ勇者だろ……。」
シン「そういうお前が行けよ……!」
二人は、ひそひそと押しつけあいをし始める。
すると。
魔兎「グァアアアアアアアア…………。」
唸り声と共に魔兎の瞳が、こちらを睨みつけてくる。どうやら気づかれたようだ。
二人「やべっ……。」
斬識とシンは言い合いをピタリと止めた。代わりに、顔面蒼白になりながら、お互いに身を寄せあわせて震える。
シン「おぉ神よ……今までの行いと罪をすべて認め、深く反省致します……なので、どうかこの世でもう少しだけ生きさせてくださいお願い致します……!」
シンは、神にすがった。
魔兎「グゥウウウ…………。」
魔兎の黒い巨体は、完全にこちらに向かっている。
斬識「だから静かにしろっ……!もう手遅れだけどな……。」
ゴロッ……。身体を隠していたガラクタの壁が、もろもろと砂埃を立てながら外れる。そして、魔兎の巨体が二人を影で覆い、睨みつける目はこちらに向いていた。
シン「やはり死ね、ということですか……。」
斬識「死にたくないが最期……お前といれて良かったよ。」
二人は、死亡フラグを確信していた。もはや、諦めは覚悟へと化していた。
そのフラグに沿うように、魔兎が前足をふり上げる……。
?「リリィ!こっちだ!」
そう声がすると突然、何処かからタロットカードが飛んできて地面に突き刺さった。
シン「?……これって……。」
二人は、降ってきたタロットを見た。絵柄と共に書かれている文字は、「JUSTICE」。直訳では、正義の意味合いだ。
斬識「助けが来たんだ……。」
シン「そして、ルナリアでタロットが有名と言ったら……。」
魔兎「グァアアアアアアアア……。」
魔兎の見る方角。斬式とシンも、神を拝むかのようにそちらを向く。
三つの視線の先にいるのは。タロットを目の前にかざしてポーズを取る占い師・リオン。
リオン「生存者がいるとはな……。」
黒猫魔「ギリギリ間に合って無事、よかったにゃ。」
修道着を象ったような黒衣をまとい、黄金色の杖を構える黒猫魔がいた。


《続く》

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #71 

#71 闇堕ちギルドに集いし勇者たち

〜ギルド内 エントランスホール〜

ギルド内に入ってすぐのホール。既にそこは、対魔兎のための作戦会議場兼拠点となっていた。
シシャモ「魔兎は最初は暴れていても、粘っていればそのうちスタミナを切らすから……。」
第二次魔兎騒動で活躍した謎多き勇者、シシャモ。
リオン「今回は私もリリィを鎮めるために、参戦させてもらうか。」
よく当たると有名な占い師、リオン。
黒猫魔「リリィさん……早く止めないとにゃ!」
鋭いカンでリリウムの異変に気付き当てた闇の存在、黒猫魔。
銀月「撃ち抜く……バァン。正直あの化け物を撃てるかなんて……。」
そう呟きながら、自前の銃の数々を磨く銀月。
リオレット「今回は僕も参加させてもらうぜー!」
みお「みおも、リリィさんを止めに行く!」
とことんお気楽な二人、リオレットとみお。
魔法少女るかたこ「ルナリアを守ってみせることこそ……私の使命なんだわ!」
Flufly「魔兎騒動……大事件ですね!」
煉「怖いけど……りりしゃとルナリアの為!」
楓「支援なら私に任せて!」
少女達は、かつてないような敵を前に挑む怖さを背後に見え隠れさせている。
チルリータ「魔兎騒動……こんな時に大変なことばかり起こるんだから!アムロ、行くわよ。」
アムロ「あいあいさぁ……!」
チルリータは相変わらず少しイラつきつつもあるが勇ましく、対照的にアムロは弱気でブルブルと震えていた。
そこへ、リンがぴょいとやって来た。
リン「連れてきたにゃあ……。」
エメラルド「みんな、話はリンから聞いてる。すまんな。」
リンの後から、まだ目覚めたばかりでおぼつかない様子のエメラルドがやって来た。
シシャモ「お、エメ。調子は大丈夫か?なんか……黒狼になっているが。」
シシャモは、見た目が変わったエメラルドをじろじろと見ながら。これまた微妙に驚いていた。
それに対してエメラルドは、優しく微笑む。
エメラルド「……おかげさまだ。何とかさ。」
シシャモ「なら、良かった。これで二人……だな。」
エメラルド「あぁ。それにみんなもいる。」
シシャモ「だな。」
シシャモとエメラルドは、お互いの拳を合わせた。
そしてシシャモは、皆に向けて言う。
シシャモ「えー…ここに集いし勇者たちよ。数年来に蘇りしルナリアの脅威、魔兎を鎮めるため、集ってくれたことに感謝する。俺とエメラルドが先導をする。なお、このプロジェクトについては国軍の協力もあるので敬意を示すように……。」
エメラルド「国軍!?」
エメラルドはリアクションをとりつつも、流石にそれは何かの冗談だろうと思っていた。
シシャモ「うむ。数日のうちに国中にも被害が出ててな。魔兎がルナリア(ここ)に戻ってきたから結界で封鎖を施してあると。手付かずの竜の件は一時放棄でだぜ?」
シシャモは、新聞の切り抜きや国家機密の文書の数々をエメラルドに見せる。
エメラルド「リリィ……。何してくれてるんだよ……。」
思った以上に事が大きくなっていたために、エメラルドはある意味でヘコんだ。
チルリータ「何ヘコんでいるのよ、狼なのに。ほら、行くよ。」
チルリータは、相変わらずの強め口調である。しかし彼に差し伸べた手は、どこか優しさを宿していた。
エメラルド「……おぅ。行くか。」
エメラルドは、チルリータの手を取り進む。
エリィ「頑張って……下さいね。」
ベルベット「腹が減ったら死ぬ前に帰ってこいよ!」
エリィとベルベットは、冒険者達を笑顔で送り出す。と、同時に健闘をどうか祈るのであった。


《続く》

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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†やみいろアルカディア 休載のおしらせ† 

Vierge♀Cendrillonの方を完結させてゆきたい&
こちらの設定を整理したい為、
勝手ながら『やみいろアルカディア』の方はしばらくお休みさせていただきます。(かといって更新頻度もよくなかった)
また、番外や補足編などは気が向いた時に書いていこうかなと思っています。

『やみいろアルカディア〜Spring season〜』

次編予定》やみいろアルカディア〜Summer season〜 構想
・のほほん、でもSpringよりファンタジー性を高めたストーリー
・暗い森の住人たち登場
・リオレットに忍び寄る魔の手、アリシアを誘う更なる不思議な日常……etc

アリシア「しばらく本当に会えなくなるけど、どうかよろしくね。」
ユウリ「また何らかの形で会う事になったらよろしく!」

category: お知らせとか設定とか

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やみいろアルカディア #46 

#46 シラユキの転生

前回のお話。
天上院家の面々とシャーリーは、雪に騒いでいた。それはどうでもよいとして。
白の景色の中、二人で闇咲邸庭園を歩くミライとユウリ。
すると突然、粉雪が舞い上がる。
それは、みるみるうちに少女の形になり……?

ミライとユウリの目の前に現れた少女。雪のように白い肌に纏うのは、白く軽やかなワンピース。艶のある黒髪と、真っ赤な唇がその白い肌を余計に引き立たせていた。
少女「うふふ♪二人とも元気?」
少女は、くるくると回りながら二人に話しかけた。
ミライ「……?」
ユウリ「誰?」
ミライもユウリも、見覚えのない様子だ。
それを見た少女は、くるくると回る。
そして、隣同士にいる二人の耳元でこう囁いた。
シラユキ「シラユキだよ。」
ユウリ「シラユキ?」
ミライ「アイシクルと一緒に……消えたのじゃ……?」
ミライとユウリは、お互いとシラユキと名のる少女を見つめ、目を疑った。
シラユキ「信じて……くれないかな?」
シラユキは、くりっとした二つの目玉で二人を見つめた。
お互いに見つめ合っているうちに、ミライとユウリにはあの子の面影が見えてきた。そしてそっと彼女の両サイドを離れ、無言でそちらを向いた。
シラユキ「どうしたの?」
ユウリ「……シラユキ!そっちこそどうしたの。アイシクルと一緒に消えたはずじゃ?」
ユウリは、とつせ脅かされたような物言いになった。
シラユキは、少しうつむき気味になる。
シラユキ「どうしてこうなったかなんて私にもよく分からないの……。ただ……。」

***

シラユキが、アイシクルや氷の世界と共に消えていく時……。
視界が白で遮られる中、彼女の感覚も、身体も、ゆっくりと溶けるように消えつつあった。
彼女は、もうこれが運命(さだめ)と分かっていたので、幼さの割には静かに、だだなんてこねる事なく受け入れていた。
しかし、その瞳には、氷のように透明な涙を浮かべている。
ずっと訳も分からず、広い氷の塔でひとりぼっち。主(アイシクル)はいつもメアリーに夢中。そんな中、自分の前に現れ、共に非道な主を倒したユウリとのかけがえのない時間。メアリーも救われ、ハッピーエンドと共に帰っていった二人。
とても短い時間だったけど、今までの長い空虚感よりはとても楽しいものだったと思い、このまま消えるのも寂しい……とシラユキの涙は物語っていた。
その時。彼女の目の前に、キラキラと光るチョウチョのようなものが二体現れた。一体は水色、一体は緑色。何も見えないはずなのに、そのチョウチョたちは目で追うことが出来た。
二体のチョウチョは、彼女の前を自由にひらひらと舞っている。
それを眺めていると、やがて空間よりも白く輝く道が、目の前に一本現れる。
チョウチョ達は、まるで彼女に「おいでよ」と言うように彼女の先をひらひらと舞う。
シラユキも、導かれるまま、道をゆっくりと歩くと。

いつの間にか、知らない世界にいた。
花と緑があふれる世界。
身体も成熟し、少女となっていた。
白い雪を、自らの意思で降らすことが出来るようになっていた。

その世界こそ、偶然にもあの二人がいる世界だった。

***

シラユキは今までのいきさつを分かる限り話すと、「これ以上の事はよく分からない」と完結させた。
ユウリは、あいづちをついた。
ユウリ「そうか。……とりあえず落ち着いて、後でまた詳しく聞かせてくれる?家に案内するよ。」
シラユキ「いいの?」
ユウリ「うん。おいで?」
ユウリは、シラユキの方を向いて屋敷の方へと歩き出した。ミライも一緒に。
シラユキは、ふわふわと弾みながら後を追う。
シラユキ「うん!それと、名前思い出したの。」
ユウリ「何?」
リッカ「“リッカ”だよ。」
シラユキもといリッカは、優しく微笑んだ。
ユウリ「おう。」
ユウリもミライも、彼女を微笑み返した。

……これが、奇跡が生んだ、恋のお話。
ずっと一緒にいた二人の関係は、まだ始まったばかり。
いたずらキューピッドは二人を見つめ、笑っていた。


《続く》

category: やみいろアルカディア

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #70 

#70 ルナリア第二次魔兎騒動〜魔兎の爪痕〜

魔兎は、街中にウィルスを振りまきながら、惨殺、破壊行為を繰り返していた。
そこへ、エメラルド、シシャモ、ジグマがやって来る。
エメラルド「リリィ!落ち着け!」
魔兎「グァアアアアア………!」
エメラルドの声に気づき、魔兎が襲いかかる!
シシャモ「容赦はせぬぞ。」
シシャモは、剣と弓を巧みに使い、魔兎の体力を削っていく。
魔兎もまた、細身な身体とありあまる力でかわしていく。
そして、彼らに攻撃を仕掛けてくる。
ジグマもまだ当時、魔法を習いにルナリアへ来たばかりのためそんなに上手くは無かったが、隙を見ながら応戦していった。
そして、お互いの体力が切れてきた頃だ。
魔兎の動きが鈍くなり、攻撃する隙が出来る。
エメラルド「リリィ……落ちついたか?……ごめんよ……。」
エメラルドは、そう優しく魔兎に言った。同時に、懐に隠しておいた薬瓶が投げられて宙を舞う。
シシャモ「ほい。」
シシャモは、薬瓶をキャッチして弓に装填する。そして、矢と共に放たれ突き刺さるのであった。
魔兎「グァアアアアアアア……!」
急所をつき、薬も効いたようで魔兎の動きは麻痺している。
ジグマ「魔兎……鎮まれ!」
最後はジグマが、自分へと伝わる浄化の守りを魔兎に突きつけた。
魔兎「ギャァアアアアアアア…………‼︎‼︎………」
魔兎は、化け物じみた断末魔をあげて倒れこんだ。そして、リリウムという少女の姿へと戻っていく……。
そうして、魔兎騒動は鎮ったのであった……。

***

で、数年後の今。
まさにその悪夢が、蘇ったのである。
エメラルド「リリィ……。」
エメラルドは、涙を一粒垂らして窓の外をずっと眺めていた。
リン「エメ?……そーいえば、みんな下にいるよ?」
リンは、彼の気持ちを察しながらも服のすそを引っ張る。
エメラルド「……あぁ。後で行くからリンは先に行っててくれ。」
リン「……にゃあ。」
リンは、一声鳴くとエメラルドの部屋からそっと出て行くのであった。


《続く》


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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #69 

#69 ルナリア第二次魔兎騒動〜荒廃の始まり〜

エメラルドは、窓の外を眺めた。
エメラルド「やはりか………。」
窓の外からは、美しいルナリアの街並みや広がる海、周辺の自然などが見渡せるのだが。
見えるのは建物が損壊し、所々煙や砂埃が立っていて荒廃した街並み。そんな街をうごめくのは、真っ黒な化け物や死体(ゾンビ)達。空は厚く曇り、海も黒く汚染され、自然も枯れ、いつもの平和で活気のある痕跡が残っていなかった。
リン「『ルナリア第三次魔兎騒動』にゃ……恐ろしい……。」
リンは、震えていた。
エメラルド「前より酷いかもな……これは。まさか数年で……。」
エメラルドは、数年前の事を思い出す。

***

〜数年前〜

ルナリアを脅威に陥し入れた「ルナリア第二次魔兎騒動」。
第二次というからには、前もあった訳で。それは「ルナリア魔兎ヤミラ騒動」という名でそこから更に200年前に、“ヤミラ”と呼ばれる兎が“魔兎ウィルス”を振りまいては暴れ、多数の死者や感染者を起こして当時のルナリアを混乱
させたものとされている。
さて、その第二次魔兎騒動なのだが。きっかけはノアール家のお嬢様リリウムが、幼い頃に好奇心で呪われた装備「魔兎のファーマント」をまとってしまったことにより始まったと言われている。
それから彼女は狂い始め、
「───今では家に連れ戻しても聞かずどんな手段を使っても森へ逃げてしまう。だから様子だけでも見に行ってくれないか。」
と、ノアール家当主アルフレッドから、半狼種族のエメラルドは依頼されていた。
そうしてリリウムの観察にあたりある日の事。
森で自由に狩りをして暮らしているだけだった彼女は一変、過剰な惨殺を繰り返していた。
そして、その惨殺光景は街にまで広がっていた。街中、彼女が暴れ、破壊の爪跡だらけである。
同じく魔兎に接点のあるシシャモ、そして彼から紹介されたジグマという青年と共に魔兎鎮圧へと向かうのであった……。

《続く》

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やみいろアルカディア #45 

#45 白い奇跡の贈り物

前回のお話。
ユウリは、いつものように目覚めた。
いつものようにリビングに顔を出すと、レイナ、レナ、アリシアに取り囲まれる。
そこへミライがやって来て、二人は本当に再会する。
ミライに言われ一緒に見る窓の外は、白く輝いていた。


~聖・天上院教会~
外では、雪と同化するような白の、無邪気な子らが遊んでいた。
フェネアン「そ~れハクモ……ふわふわぁ……。」
ハクモ「ふわふわぁ~。」
ハクモとフェネアンは、雪をすくい上げては撒き散らしている。
シャーリー「こっちも忘れるなっ!」
 そこにシャーリーが現れる。上から、二人めがけて雪玉を投げつけた。
フェネアン「あ、シャーリー。元気~?」
 フェネアンは、いつもののんびりした様子でシャーリーにあいさつをした。
シャーリー「たまには……矢以外の物を放つのも面白いじゃない?」
 シャーリーは、いたずら笑顔で雪玉を片手お手玉のように軽く放っていた。
ハクモ「それはいい心がけー。あの矢でハルカねぇ、闇咲邸の悪魔とラブラブになってたからねー。」
ハルカ「っ!?」
 ハクモに、大声で言われたく無いことを言われたハルカは、身体がギクリと固まった。
シャーリー「あの時は面白かったわー。」
 シャーリーとフェネアン、そしてハクモもにやにやと笑っている。
ハルカ「そ、その事はちゃんと懺悔したから触れないで!」
 ハルカは、顔から火が吹き出しそうであった。
ツバサ「子供は元気だな……。」
ツバサは、スタッズのついた漆黒のコートを身に纏い微笑する。
リナ「貴女もガキでしょうが。」
いつの間にか現れたリナは、隣でツバサの頭を撫でている。
ツバサ「……うるさいな。」
ツバサは、冷ややかな目でリナを軽く睨んだ。しかし、内心は少し照れてもいた。

〜闇咲邸 庭園〜
ユウリとミライは、白景色の中を二人歩いていた。
ミライ「そんなに……寒くないね……。」
ミライは、パステルグリーンのワンピースの裾を風になびかせている。
ユウリ「季節自体は春だからね。今日はちょっと凉しいかな。」
同じくユウリも、パーカーについている長いうさ耳を風になびかせていた。
ミライ「雪……溶けないのかなぁ。」
ミライは、そう呟いた。
辺りは白景色というものの、季節はとっくに春。花は咲き、ぽかぽかと暖かい陽気が地へと降り注いでいる。
その時だった。突然二人の目の前に粉雪が舞い上がり、白いもやが立つ。
ミライ「何っ…………。」
ユウリ「…………?」
二人は、それをじっと見つめる。
粉雪は、くるくると螺旋を描いて小さな竜巻のようになっている。白い粉雪を撒き散らしながら渦巻いているうちに、やがてそれは、人の形をかたどる。そして、自分たちと同じくらいの少女の形へと化し、その少女が、物理的なものとしてはっきりと現れる。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #68 

#68 魔兎の悪夢


〜ギルド内、屋上〜
黒猫魔「っ……にゃっ……。………にゃっ!」
黒猫魔は、息を切らして顔を上げる……。と、同時に顔面が青ざめ、退けぞってしまう。
「グ……グゥウウウ……………!」
化け物の唸り声。見上げれば、月の光に照らされる巨大な黒兎の影。
その前では、エメラルドが崩れている。地面に手をついている側には、薬瓶が割れて液が流れ出ていた……。
エメラルド「リリィ………っ。」
黒猫魔「にゃ……あっ。エメさん……。」
黒猫魔も、他のメンバー達も、ただ呆然と立っていた。
シシャモ「魔兎……。一体何があったんだ……。」
何処からか現れたシシャモ。彼も、その影を見つめて口を開いていた。
エリィ「これが魔兎……ですね……。」
エリィは、驚いて一目散に逃げる事もできずに声を震わせ、その場に立っていた。
チルリータ「凶竜の次は魔兎!?一体どうなってるのよ……!」
夜中に迷惑な甲高い叫び声があがる。そしてまた何処からか、チルリータがスタッと舞い降りてきた。
魔兎「グゥウウウウ…………。」
唸り声と共に、真っ黒な魔兎の瞳が不気味に光る。
同時に、魔兎から黒い胞子が排出される。
エメラルド「ゲホッ……!」
一番魔兎に近い位置にいるエメラルドが、咳払いをしながらフラフラとこっちへ来た。
シシャモ「危ない、一旦ここは退避しよう。」
シシャモは、すでに意識が飛びかけのエメラルドを背中に乗せる。
エメラルドは、シシャモの背中に倒れると、動かなくなってしまった。
そして魔兎を除くその場にいた者全員が、すぐにギルド内へと退避した。


〜ギルド内にて……〜

エメラルド「んっ……。」
照明の光が、エメラルドの瞳孔を刺激して目覚めさせる。
リン「エメ……!」
彼の目の前で、リンが上に乗っかり抱きついてくる。
エメラルド「おいおい、いきなり何だよ……。」
リン「心配したんだから……!エメあれから、三日も目が覚めなかったんだから……。それに……。」
リンは泣きべそをかきながら、エメラルドの姿をまじまじと見ていた。
エメラルド「………なっ!」
エメラルドは、ビクっとした。
長い碧い髪が、黒く染まっていた。これまた碧かった尻尾もだ。そして、数日前までのリリウムと同じように、両腕両脚にも黒い毛が生えている……。
エメラルド「おいおい……これじゃあ黒狼じゃねぇか……。」
彼は苦笑いをした。
リン「一応……楓ちゃんがお薬とヒーリングやってくれてるよ……。」
リンは、エメラルドの腕を優しく撫でていた。
エメラルド「それはすまない……で、リリィはどうなってる!そして、街はどうなってる!」
エメラルドは、身体を急に起こして窓の外を眺める。
リン「あぁっ!」
リンは、その反動でくるくると転がった。


《続く》

・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.・:*+.

リリウムからのお知らせ。

Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜

〜#64までの総集編と#65〜は元ネタのブラウザゲーム、チビクエストにて公開中!


よかったらこちらもよろしくなの。

チビクエスト

※ルナリアなら月サーバーなの。道間違えたら喰う以前の問題だからねー?

もしかしたらりり達と接点持てる……?りりは声かければ対応するからよろしくなの!

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #67 

#67 月影の静寂

〜ギルド屋上 屋根の上より〜

夜、リリウムは屋上から屋根の上に伝い、座っていた。
ぼーっとして眺めているのは、黒い靄の方である。片腕に刻まれた刻印は、夜風に晒されて鈍く疼いていた。
地上へと降り注ぐ月の光。所々黒い雲が覆っては、その微かな光を隠している。
光に反射するヒスイのような彼女の瞳。うるうるとはしていたが、いつも以上に淀んでいる。
そうして、しばらくの時は流れた。

〜ギルド内部 エントランスホールでは〜

リン「りりしゃ、いつまで外にいるんだろ……。」
銀月「確かに、長いね。」
リンと銀月も、リリウムの事を思いながら窓から同じ月を眺めていた。
煉「りりしゃ……。」
煉も涙目を浮かべていた。
ギルド内は、静寂に包まれていた。
その中で、時計の針がチクタクと音を立てていた。一針一針、天に向けて動いている。
黒猫魔「うにゃ……あ。」
黒猫魔は、“占い師”リオンの膝の上であくびをしている。
リオンもまた、水晶を眺めながら黒猫魔を撫でていた。やはりどこか不穏な表情を見せながら。
そしてそのまま、時間だけが流れていった。
長針があと一、二分で天をさす頃。
黒猫魔「……悪い予感がする。」
突然、黒猫魔は何かを感じたのか。リオンの膝の上から飛び降り、立ち上がり、ギルド内を走り出した。
リン「ねこしゃ!」
リオン「待てっ……!」
それにいち早く気づいたリンとリオン。すぐさま黒猫魔の後を追う。
銀月「前にもこんな事があったような……!」
煉「あぁ、待ってよ!」
その背後をまた、銀月と煉も追いかけた。
エリィ「皆さん、どうしたのですかっ!」
エリィもまた、その後を追いかけ、エントランスホールには再び静寂が訪れた。

〜それから〜

黒猫魔「っ……!っ……!っにゃ…………!」
黒猫魔は、無我夢中になり走っている。
その後を、先頭を切って追いかけるリン。
リン「だからねこしゃ……!待ってよ……!」
銀月「前にもこんな事があった……!ほら、お菓子の家の時……!多分、りりしゃが本当に危ないんだって……!」
銀月は、息を切らしながらそう言った。
リン「………!」
リンは、何かを思い出したようで目を見開く。
そして彼女の足は、更にスピードを上げて走る。
銀月「りんしゃ!」
銀月もまた、息を切らしている中でその後を追いかける。
その後衛では。
煉「はぁっ……はぁっ……みんな女の子なのに足速い……。」
エリィ「本当……です……。」
煉とエリィは、既にスタミナ切れでフラフラになっていた。
リオン「大丈夫か……?地味にこのギルド、施設が豊富な分広いしな……。一応ノアール家の財産で建てられただけあるよ……。」
リオンは、淑女たちを気遣ってか、若干余裕な様子でペースを合わせていた。
そんな中、黒猫魔の足も更に早くなる。
もはや後ろはついて行けずに、リンと銀月のみがその後を追いかけていた。
そして彼女達は、屋上へ続く階段をタッタと駆け上がる……。

《続く》

category: Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~

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