箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #65 

#65 魔兎の異変

*リオンの手記*

リリウムや、その他メンバーの言語能力は、かなり回復している。エメが早くから薬を調合してくれているせいだろうか。他よりも治りが早い。
最近では、エメの薬を、買いたいという人が多数いるおかげで、彼はとても忙しそうである。まぁ、あれだけの被害者がいるのだからな……。仕方ない。
ここ最近の依頼は、薬の調合、販売、そして無謀な凶竜討伐、か……。
あれから世の中はずいぶんと変わったものだ。無謀にも凶竜を討伐しに行った者は皆滅びたというし、国軍に頼っても解決せず。街も人が減ったせいか前ほどの活気は無く、静かになったものだ……。

それより、最近気になる事がある。
一つは占いをするも、毎回のように塔ばかりが出る事。あのカードが表すこと……何か不吉な事が起こるのかもしれない。

もう一つは……。リリィの事だ。ここ最近、何だか調子がおかしい。きっとグレンの事もあるのだろうが、やはりこちらからも不吉な予感がするのは……気のせいだろうか。………


〜Vierge♀Cendrillon ギルド〜

あの騒動から、しばらく経った今。
リリウム「グゥ………。」
リリウムは、黒い耳と手足に生えたふさふさの毛を露わにしながら悶えていた。
リン「りりしゃ……やっぱり今日も調子よくない?」
リンは、リリウムの腕を優しくさすっている。
リリウム「グッ……。」
リリウムは、若干苦しそうな様子でうなづいた。
みお「リリィさん、無理、しないで……。」
みおも、まだ例の後遺症が残っており若干言葉を発するのに苦労していた。
リン「りりしゃ……寝る?」
リリウムが、あまりにも苦しそうなため、リンは休養することを進めた。
リリウム「ウグッ………。」
リリウムはうなづき、なんとか重い身体を起こした。
リン「一緒に行ってあげる。」
みお「みおも、手伝うー。」
リンとみおは、リリウムの両端に寄り添い、一緒に部屋まで連れて行った。

黒猫魔「何だかリリィさん、すごく何かを抑えている感じがしますネ。」
心配しながらも、どことなくニヤついている黒猫魔。
銀月「大丈夫かな……。」
リリウムの様子をずっと見ながら、不安げになる銀月。
リオン「うーん……今は対魔兎ウィルス薬で抑えてる、とエメは言っているが、その効果がいつまで続くかだな……。あとは、彼女の精神状態?あれから何かと、結構不安定っぽいからな。………またか………。」
リオンは、また出た例の札を見て、不穏を感じていた。
黒猫魔も、カードの絵柄を覗きこむ。
黒猫魔「またこれかにゃ……。リオンさん、何かタロットに小細工なんてしてないですかにゃ?」
リオン「そんな事する訳がない……。占い師としての名が廃る。」
黒猫魔「じゃあ……実はこのタロットは呪われている……とか。」
銀月「前からリオンはこのカードを使っていて、その時は何にも無かったよ。でも……もしあれなら、一旦別のカードを使ってみたらどう?」
銀月は、そう提案をした。
リオン「まぁ……試してみるか……。」
リオンは、カードに描かれた塔を、しばらく見つめてから、そっとその組のタロットをしまった。

《続く》
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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #64 

#64 使い竜の失墜

リリウム「グァアアアアア………。」
リリウムが、哀しそうかつ恨めしそうな目をしてグレンを睨みつけていた。
グレン「だから何だよ……。俺が何か悪い事したなら謝るぞ。」
リリウム「…………。」
グレンは、リリウムの額を撫でる。しかし、彼女は表情を緩めずにそっぽを向いたままだ。
エメラルド「リリィ、言うことがあるんだろ……?」
エメラルドは、リリウムの肩をぽん、と軽く叩いた。その瞳もまた、どこか鬱気である。
リリウムは、ごくりと息を呑む。
そして、服のポケットから一枚の折り畳まれた紙を出し、グレンの顔も見ずに手だけそっちに向けて渡した。
グレン「なんだ……。」
グレンが紙を開き、内容を確認する。
『Vierge♀Cendrillonギルドメンバー グレン様

×月×日

〜通達書〜

貴殿は、『ルナリアガラガラ声騒動』の問題となる行動を起こしたとされ、当ギルドの信用を失墜させました。
よって、本日をもちまして貴殿の当ギルドによる活動を、無期限停止させて頂きます。

以上

Vierge♀Cendrillonギルドマスター リリウム・ノアール』

グレン「つまりこれは……。」
エメラルド「残念だな。………」
グレンは、紙を拳でぐしゃっと握る。そして、そのままギルドを後にした。
周りは冷たい目で見ていないふりをしている中、エメラルドは哀しげな目でドアの方を見つめていた。

それを窓の外から見つめ、クスクスと笑っている者がいた……。
ザキュバス「キュキュキュwwwこれは面白い結果だキュラ……。竜となる者が、下心から社会的信用を失うなーんてね……。」

〜その後、バベルの塔にて……。〜

それからのこと。グレンは、塔の下層奥深くで、一人うずくまっていた。
光も見えない天を、その首が仰ぐ気も無いまま。
ただ、自分の犯した過ちを悔やんでいた。
そうして動くことも無いまま、暗闇の中。時間だけが、ただ過ぎてゆく。
そこへ「キュラキュラキュラ……」と、どこかで聞き覚えのある笑い声が響いてきた。
グレン「何だよ……今は構わないでくれ……。」
竜の重いまぶたは、一瞬は開いたものの、またすぐに閉じてしまった。
すると、再度その甲高い笑い声が響いてきた。
グレン「だから構うな……。今すぐ立ち去れ……。」
グレンは、瞳を閉じたまま小声でそう言うと、再度眠りについた。
笑い声の主は、「しょうがないなぁ、」と呟くと姿を現す。
それは、取引をしたあのザキュバスであった。
ザキュバス「おはよーさん……今のご気分は……?」
竜の大きな額を、つんつんとつつきながら前に立っている。
グレン「……お前の事など二度と思い出したくない。いいから立ち去れ……。」
グレンは、微かに瞳を開いて鈍く睨みつけた。
ザキュバス「そんな顔するなキュラ〜。今、ルナリアがどうなってる事かね〜……。知りたい?」
ザキュバスは、瞳をクリクリさせている。
グレン「いいから立ち去れ……。」
グレンは、表情を変えずにその一点張りだ。
ザキュバスは、それにお構い無しで愉しそうにこう続ける。
ザキュバス「今のルナリアは本当面白いよー?あれからまだ例の件は解決しておらず、大混乱の中コンテストも中止。凶竜を倒そうと、ルナリア市民はおろか、他地方の冒険者や国軍たちも山脈に入っては、返り討ちにあい死亡者続出。今や他国をも巻き混んで国中が面白いことになっているキュラキュラ〜♪」
グレン「お前は大変な事をしてくれたな‼︎‼︎」
グレンがそう叫ぶと、ザキュバスの周りの重力が一気に重くなり、彼女の身体が一瞬にして紅い海となる。それだけではない。あまりの重力に上からは石がぽろぽろと崩れ落ち、床からは岩々がせり出し、空間は歪み、天変地異さえも起こしている。
彼は気づいていないが塔の外も、元の面影はなく、たくさんの岩や枯れた木々、歯車やガラクタなどに覆われ……。外観はそう、“崩壊”“混沌”を示すようだった。
山脈も荒れ、割れたところからは溶岩が流れ、住処としていたドラゴンや他の生き物たちも皆、滅びてしまった。
こうして、一匹の竜と世界は、完全に分断されてしまった。

《続く》

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やみいろアルカディア #44 

#44 白景色から目覚めて

前回のお話。
アイシクルは、まだこりていなかった。
ユウリの能力を更に封印しようとするも、失敗。
自分の能力が封じられ、そのまま陰陽玉に封印される。
その後、シラユキとミライと合流。すると、シラユキごと白く霞んで……。


ユウリ「んぐっ……。」
ユウリは、眩しい朝日の中で目を擦った。
いつもと何ら変わりの無い自室のベッドの上。今や異世界とも思わない、彼の異世界での何ら変わりない普通の一日の幕開けが、今幕開けようとしていた。
ベッドから起き上がり、服を着替える。そして部屋からリビングへ……。
クロロ「おはようございますにゃ。」
クロロは、鍋つかみを装備して、いい匂いがする鍋をテーブルに運んだ所だった。
レナ「あっ!ユウリ!」
餌の臭いを嗅ぎ付けた猫のように、レナがユウリのふもとにダイブする。
 ユウリは、その勢いに押されて下がった。
ユウリ「ぐぇ、いきなり何だよ……!」
レナ「やっと帰ってきた。今までどこに行っていたの………。」
ユウリ「ちょっと、急に異次元に飛ばされて……。」
レナ「もう……。心配したんだから……。」
レナが、頬を赤く染める。
 しかし猫は、一匹だけじゃなかった。
レイナ「私が一番心配したんだよ……!毎日気が気で眠れなかったんだからぁ……!」
レイナは半泣き状態で、ユウリの足首に自らの頬を当てて、すりすりもふもふしている。
ユウリ「足首は……ちょっとやめてくれ。」
 ユウリは、アイシクルに凍らされかけた時の事が、思わず心に出てきてしまった。
更には。
アリシア「無事でよかったぁ……。だってユウリが消えてこの数日……ずっと気が気でならなかったからぁ………!」
アリシアも泣きべそをかきながら、ユウリの身体をもふもふしていた。
ユウリ「ちょっ……もがっ……やめっ………。」
少女達とはいえ三人の体重が、ユウリにのし掛かる。
ミライ「や……めて……っ!」
ミライが、か細い声を出しながら立ち上がる。
猫少女達三匹は、口をAの字にして止まった。
ミライ「みーが……一番もふもふしたい……!」
ミライは、ユウリの元へと歩いてぎゅっと抱きついた。
 ユウリも、それを受け止めてミライをもふもふする。
レイナ「みーちゃんが……」
アリシア「……しゃべった……!」
レイナとアリシアの口は、「オーマイゴッド」と言い切れないかのように開く。
 そこに、レナが手をバシッと横に振ってツッコむ。
レナ「みーちゃん前から喋ってることは喋ってるよ……。」
レイナ「……あ、確かに。」
 レイナは、空いた口を閉じて正気に戻る。
 それに続いてアリシアも、からくり装置のように元に戻る。
アリシア「あ、しゃべったね……ふふふっ。」
 そして、照れ笑いをした。
 一方。こちら、ラブラブな二人は。
ミライ「良かった……。」
 ミライは、瞳をうるわせていた。
ユウリ「……ただいま。」
ユウリは、ミライの身体をそっと抱き寄せ優しく撫でた。
ミライ「ぐっ………。」
すると、ミライの瞳から涙が溢れ出す。ユウリ「大丈夫?」
 ユウリが、背中をさすりながら優しく話しかける。
ミライ「うん……。」
 彼女は、温かみを感じていた。今ここで、お互いに無事で、一緒にいられる幸せを……。
そして、あのぬいぐるみはもう手元には無い。どうしたのかというと。彼女が目覚めた時には、もう隣にはいなかった。どこかに置いたのかな、と思い探してみたが、どこにもいない。しかし、彼女はそれほどその事を気にしていなかった。
ミライ「ねぇ……。外……雪……降ってるよ……?」
 ミライは、泣いてしゃっくりを抑えながら言った。
ユウリ「雪?本当に!?」
ユウリは、飛び上がりミライの手を引く。
ミライ「あっ……!」
突然前に引っ張られるものだから、ミライは転びそうになる。
窓に駆け寄った二人は、白く輝いている外を眺めた――――。


《続く》

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #63 

#63 白昼の騒動

前回のお話。
ルナリアの裏路地には、穴場になっている酒場酒場があった。
そこでシシャモとリオンは、例の件について話していた。
「凶竜が犯人じゃないか」と、出るところを探偵(?)Fluflyは見ていた…。



〜ルナリア 露天商店街「ハクチウム」〜

ルナリア名物の一つでもあるこの商店街。今日もたくさんの露店が並び、賑わっていた。
そんな商店街で売られているのは、食料や日用品、雑貨はもちろんのこと。冒険に必要なアイテムや武具、魔法アイテムやアクセサリー、更には見るや「これ……売っちゃダメでしょ」と言いたくなるようなモノまでが昼の街並みで堂々と売られている。
グレンも、この街に慣れたようで一人で買い物に来ていた。
死月「お兄さんカッコいいですね。自分用ですか?」
グレン「いや、プレゼント用で。」
グレンは、数あるアクセサリーの中から、いかつそうなドクロが連なったハードなネックレスを選んでいた。
死月「そうですかー。もしかして彼女とか…。」
商人、死月はにやにやと笑っていた。
グレン「まぁ、みたいなものだな。」
死月「まさか……こんなデザインを好むだなんて、リリウム様みたいな子だったりして。」
グレン「そのまさかです。」
死月「そうですか。なら、この前、街中を暴走してたのは……。」
グレン「いや……人違いだと思う……。」
グレンは、そこまで当てられるなんて、死月にどことなく怖さを感じた。
すると、死月はハッハと笑った。
死月「そのツノと羽でそうかな?と思っただけですよ〜。最近竜と行動してるというのはルナリア中に広まっていますし。まぁ、それにリリウム様だけが破天荒とは限らないですよね。はい、お会計7000Gになりまーす。」
グレンは、ネックレスの代金を払い店を立ち去った。
グレン「さーてと……帰るか……。」
グレンが、ギルドの方面へ空を飛ぼうとしたその時だった。
Flufly「いた!」
モモ「€々*%!!!!」
Fluflyとモモが、こちらへ向かってくる。
グレン「!?」
しかも、向かってきているのは2人だけではない。2人の背後には、沢山の人影と立ち上がる砂ぼこりが……。
身の危険を感じたグレンは、すぐにその場を飛び去った。



〜Vierge♀Cendrillon ギルド〜

グレン「ただいま……ぐっ。リリウム様?」
グレンが帰ってくるやリリウムが、彼の胸元にナイフを刺して睨みつけていた。
リリウム「グゥ……………。」
グレン「何だよ、良いもの買ってきてあげたのに。」
しかし、一向にリリウムが落ち着く気配はない。
エメラルド「なぁ、グレン。」
エメラルドが、リリウムの背後に立っていた。その表情は、どこか不穏だ。
グレン「何だ。」
エメラルド「声枯れ薬を作り、投与させ、ルナリア中に声枯れ騒動を起こしたのはお前だったのか……。」
グレン「違う。何かの間違いじゃ?」
グレンは、心当たりはあったものの、それを隠し冷静を装っていた。
エメラルドは、顔を強張らせたままで続ける。
エメラルド「逃げても無駄だ。今やルナリア中に広がっているんだよ……。最初は俺も信じたくなかったが……。」
グレン「…………。」
グレンは、この時自分がどれだけ大変な事をしたかは理解しているつもりであった。
しかしこの後、更なる惨劇へと発展する……そこまではまだ理解しようがないのであった。


《続く》

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やみいろアルカディア #43 

#43 怨念、陰陽、そして鎮静

前回のお話。
氷のフィールドは、凍てついていた。
決闘になるかと思いきや……。
ユウリの唱えた「南無妙法蓮華経」でアイシクルはあっさりと成敗された。
そしてアイシクルが最期に何かを伝えようとユウリの足首を掴むと、彼の足が凍てついて……?


ユウリ「フェイントかよっ!」
ユウリは、とっさに手から闇の炎を放った。氷が解けると、足首を握っている手を蹴って引き離す。
アイシクル「お前にそんな能力があったとはな……。」
 アイシクルは、まさかという文字が顔に出ている。
ユウリ「俺が単なる空間魔だけだと思っていたのか……。」
ユウリは、血眼になっていた。
アイシクル「今……その能力を封印してやる……。凍結封印(フリーズシーリング)……。」
アイシクルは、手から冷気の輪を放つ。二つの光の輪は、ユウリの周りをくるくると廻る……。
ユウリ「かかるかっ!」
 二つの輪が交差する直前で、ユウリはひょいとかわした。
そのままぶつかった輪は、パリンと音を立てダイヤモンドのようにきらめいて消える。
アイシクル「もう一度……。」
アイシクルが、また冷気の輪を放つ。
 すると、背後から肩を叩かれる。
アイシクル「何だ……?」
ユウリ「●ート使いを前にそっちこそ封印されろ。」
ユウリは、アイシクルに笑いを見せるとさっと彼の視線から消えた。
その直後、アイシクルの前で2つの冷気の輪が交差する。
アイシクル「……!」
交差した輪は、アイシクルの回りを素早くぐるぐると回る。そして、彼をぐっと締め付けた。
アイシクル「ぐぁ……!苦しい……!」
ユウリ「自爆にはご用心。最期に言うことは?」
 ユウリは、片手に陰陽玉を構えている。
アイシクル「やめ……ろっ………!」
ユウリ「悪霊獄封陰陽玉!悪き霊を封印し、地の果てまでも堕とし込み封じん……!」
ユウリが、アイシクルの髄までその陰陽玉を打ち込む。
アイシクル「僕は……メアリーと………!フグァアアアアアア………!」
アイシクルは、鬼のようになった顔や身体中から怨念が見える程ににじみ出ていた。腹の底からもはや枯れきって聞こえない声を出しながら、陰陽玉に吸収されてゆく。
そして、陰陽玉は地面にころんと転がった。
ユウリ「ふぅ……。」
ユウリは、ため息だけを吐いて陰陽玉を拾った。
 氷の空間には、びゅうびゅうと凍った風が吹いている。
シラユキ「ユウリー!」
そこへ、シラユキが飛び込んで抱きついてきた。
ユウリ「シラユキ。舌は大丈夫?」
シラユキ「メアリーが治してくれたの。癒しの力で。」
シラユキのそばには、ミライが立っていた。どこかで見つけたのか、真っ白いコートを纏っている。
ミライ「ユウリ……。」
もふもふしたミライが、安心した様子でユウリに抱きついてもふもふしている。
ユウリ「みーちゃん……聞いていたけどそんな力があったんだ。もう帰ろう。」
ミライ「そうだね……。」
二人が抱き合うと、シラユキの身体が光りはじめる。
シラユキ「もうお別れ……だね。」
 シラユキは、儚げな笑顔を見せる。
ユウリ「え?」
シラユキ「ユキは元々……雪崩に巻き込まれて死んじゃったんだ……。その時持っていたぬいぐるみが……つららって名前で……。その魂が乗り移って……。今思い出したの。つららが捨てられた時にリメイクされて、メアリー……いや、ミライちゃんの言う……アイシクルになったんだ……。」
そう言いながらもシラユキは、どんどんと霞んでいく。
ミライ「古いぬいぐるみをリメイクした……ママから聞いた気がする……。」
ミライは、シラユキを見つめて言った。
ユウリ「俺にはさっぱり分からない……。けど、」


『――――じゃあね。』白い霞の中で、誰かは、最後に誰かがそう言った気がした。



《続く》

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やみいろアルカディア #42 

#42 氷の世界の決闘

前回のお話。
アイシクルは、ユウリに攻撃するもののナイス空振り。
その間に、シラユキが実験装置の機械を止める。
怒ったアイシクルの前にシラユキが舌を出すと、彼女は無慈悲にも舌を切られてしまう……。
それにユウリが怒り、覚醒して……。


辺り一面が、まるでガラスのように透き通った氷。沈静の中に吹く凍った風の音、そしてちらちらと入ってくる白い雪がその冷たさを物語る……。
ユウリ「今までよりも寒い気が……。」
ユウリの身体は微動だに震えていた。いくら覚醒しても、寒いものは寒いのである。
アイシクル「どうだ……。無情な氷点下の世界……。お前ごときが斬られればたちまち……。」
ぶつくさ台詞を呟くアイシクル。
しかし、ユウリはそれを無視していた。かまくらを作り、中で暖を取っていたのである。
ユウリ「暖かい……。さっさとここから出る方法なぁ……。」
アイシクル「っ……。42話にしてやみアル最初の……まともな決闘だろうが……!……アイシクルバレット。」
アイシクルは、氷柱の弾幕を降らせてかまくらを破壊した。
 かまくらが壊され、暖を取っていた炎が消える。
ユウリ「寒っ……!」
暖まっていたのが裏目に出て、ユウリは更に寒気を感じた。
アイシクル「雰囲気壊すことするな……。」
アイシクルは、目を見開いていた。暖かそうだがボロなマントから出た手は、中指が立っている。
ユウリ「くたばれ?なら南無妙法蓮華経っ!」
 ユウリは、中指を立て返してそう唱えた。
 すると。
アイシクル「そ、その呪文は……ぐふぉあ…………!」
アイシクルは、急にもがき苦しみ始める。
ユウリ「どうした?これでまさかの終わり?」
ユウリがそう言うも、アイシクルは気づかず……というより反応する余裕もない様子だ。
そのうちアイシクルは、地面に倒れて声も出さなくなった。
ユウリ「あ、倒れた。覚醒する間も無かったかな……。こいつもしかして悪霊?まぁ、いいや。蓮華経様のお力は凄いってことで。さっさとかーえろ。」
ユウリは、あっさりと適当な勝利宣言をして帰りの方向へと歩き出した。
ここで、ゲームならエンディングに移ろうとする場面のその時……。
 彼の足首が急に重くなる。
アイシクル「ま……て……………。」
後ろを振り向くと、地面に倒れたはずのアイシクルが足首をぎゅっと掴んでいた。
ユウリ「ん?最期に何か?」
アイシクル「メアリー………。」
アイシクルは、ゆっくりとユウリの方を向いた。
ユウリ「何か伝えておきたい事でもあるのか……。」
 伝えておきたい遺言があるのか。そう感じたユウリは、耳を傾ける。
アイシクル「は、渡さない………!」
すると、ユウリの足が動かなくなりパキパキと音を立てる。
見れば、凍りつく氷に覆われていた。


《続く》

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #62 

#62 酒場にて。

前回のお話。
その頃、ルナリアでもガラガラ声の被害が出ていた。
モモは不機嫌になり、るかたこは沈みこむ…。
さて、この騒動の行方はいかに!?

〜酒場「ケウルス」〜

ルナリアの裏路地には、名前の通り鹿の頭を看板にする酒場がある。
そこは、広く知られてはいないが、どこか古びた雰囲気に常連客が通いつめる穴場なのであった。
古びたレンガの壁に、どこか漂うウエスタン的な古くささ、少々湿り気のある酒樽にカウンター越しにはワインやウィスキーがズラリ…。
そんな中、男はトマトジュースをたしなんでいた。
シシャモ「やはりトマトジュースだよな…。」
リオン「変わった奴だな。お前って本当。」
シシャモの隣では、リオンがカルーアを飲んだ。
シシャモ「一応まだ酒は飲めねぇ。それにトマトジュース好きだし。」
シシャモは、悪いか、というようにトマトジュースを一気飲みする。
リオン「でも酒場に来てまでトマトジューかス……。しかし……ここの女将までもガラガラ声だし、歌姫ルーカも休みだってよ……。」
シシャモ「ルナリア中でガラガラ声被害か……。リオン、なんとか出来ないだろうか。」
リオン「残念ながらタロットは当て物には向かない……。あえて言うならば……。」
リオンは、『悪魔』のカードを懐から取り出した。
シシャモ「?」
リオン「出かける前に、タロットを整理していたらな。このカードが正位置で床に落ちた。何か情欲が関係するのか……?」
リオンは、カードを見つめながら眉間にしわを寄せていた。
シシャモ「そういや最近、凶竜がルナリアで暴れているとは聞くな。」
リオン「それってリリィの使い竜のことか?」
シシャモ「リリィの奴そんなのと手を組むだなんて……流石やるよあの魔兎。」
リオン「まぁ、リリィだから。」
シシャモ「てか、ぶっちゃけその凶竜が犯人じゃね。」
シシャモがそう、冗談半ばに言った。
リオンはそれに対し、相槌を打つ。
リオン「その可能性は否定できぬな……。あいつは好色ってウチの女子組が口を揃えて言ってるから……。」
シシャモ「犯人はそいつでいいんじゃね。
リオン「うむ……。」
しかしリオンは、シシャモの言うことが合っているようには感じていなかった。
『悪魔』のカード……。もしそれが当たっているならば、他にあいつをたぶらかした、元凶がいるのだと……。
その後ろでは探偵が、情報収集をしていた。
Flufly「犯人……凶竜?噂では聞いたことがあるなぁ……。」
Fluflyは、盗み聞きした情報をメモに書き留めた。

《続く》

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Vierge♀Cendrillon〜ようこそ僕らの闇堕ちギルド〜 #61 

#61 事件「ルナリアガラガラ声騒動」

前回のお話。
グレンが淫魔ザキュバスの誘いに乗り数日後。
リリウムが、常人には聞き取れないほどのガラガラ声でグレンの元へ喚き立ててきた。
ガラガラ声になったのはリリウムだけではない。
煉や楓、ベルベットやリオレット、そしてみおまで…
グレンは、罪悪感に苛まれるのであった。

〜その頃、ルナリア郊内。モモの豪邸では。〜
モモ「○しよ※ー…(おはよー…)」
モモは、まだ残る眠気に目をこする。
しかしその声は、ガラガラ声と化し、アムロには聞き取れないものであった。
アムロ「おはよーモモ様?声…どうしちゃったの?」
モモ「□ェ…‡屮×*ゴ○▼…!(声?朝からこうなのよ…!」
常人には理解不能なほどのガラガラ声で、モモは不機嫌そうに言った。
しかし、アムロには分かるわけも無く。
アムロ「ほぇ?」
アムロは、耳に手を当てて首をかしげた。決してボケている訳ではない。
モモ「………×#@V###!(このアホが!」
モモはキレて、アムロの腹わたに強烈なシャコパンチを食らわせた!
アムロは⑨⑨⑨⑨のダメージをくらった。
アムロ「グヘッ…(ちーん」
アムロは、口から大量に赤いケチャップを垂らし倒れた!
それを見たモモもその後、体中の力が抜け、よろよろと地面に崩れる。
モモ「……※D○▼k$〆……※l¥#/☆9^#'……!!!(しかしどうしようこの声じゃ……グレンの仕業だきっと……!」
彼女は、涙を一粒、二粒と流しながら歯ぎしりをした。


〜ルナリアの裏路地〜

るかたこ「………。」
るかたこは、じめじめとした裏路地に一人憂鬱な顔をして座っていた。
魔法少女るかたこの時とは一変、地味な色合いのパーカーのフードをかぶり、目は虚ろであった。
Flufly「るかちゃん。そんなところでどうしたんよ。」
るかたこに話しかける人物、Flufly。裏路地アイドルの彼女を誰よりも応援し、親密なファンのうちの一人である。
るかたこ「………。」
喋ろうとしないるかたこ。
Flufly「大丈夫?無理には聞き出さないけどね。」
るかたこ「………%@@@@@@@@@@@@@@#‼︎‼︎(うぁぁあああああああああん!」
るかたこは突然、ガラガラ声で号泣し始めた。
Fluflyは、びっくりして目を見開く。
Flufly「るかちゃん!?その声!まさか……」
るかたこ「……(こくり」
るかたこは、泣きながらうなづいた。
Flufly「突如ルナリア中で発生したガラガラ声事件……噂によるとあのモモ様、リリウムまでもがガラガラ声になったとか!」
Fluflyは突然、事件ものドラマのあらすじのような口調になった。
るかたこ「⁉︎」
Flufly「狙われたのは恐らく、アイドルコンテスト出場候補やルナリアの美声、萌えボイスの持ち主……。さて、犯人は誰なのかっ!そして、この事件は解決し、ルナリアの平和は取り戻されるのか!?真実はいつもひとーつ!次回へ続く!」
Fluflyは、更に暴走する。手には探偵の象徴、アンティークなルーペがこちらを映している。
るかたこ「a%……#÷^:〆♦︎❺%°?(あの……それどこの探偵もの?」
るかたこは、引いたせいのか涙まで引いてしまった。
Flufly「ルナリア事件簿 魔術探偵Flufly‼︎次回に続く!」
(※続きません。)

《続く》

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やみいろアルカディア #41 

#41 覚醒ユウリ

前回のお話。
次に、ミライが目覚めたのは実験装置の中。
アイシクルは、装置の前で彼女をうっとりとしながら見ていた。
もはや狂気そのものな彼に、ミライは怖じ気づく。
そこへ、ユウリとシラユキが現れて……!

アイシクル「僕からメアリーを奪ったのはそっちの癖に……!」
アイシクルは、ユウリを切りつけようと氷刃を振る。
ユウリ「ふっ。」
ユウリは、氷刃をよけた。
アイシクル「この……。*ね*ね*ね*ね!」
アイシクルは、NGワードを連呼しながら氷刃を振り回す。
 しかし、ユウリもかわしているとはいえナイス空振り状態に。
ユウリ「お前はそこらのガキか。」
 そして正論炸裂。
アイシクル「ウルサイ……!」
アイシクルが睨むと、冷たい北風がユウリに吹く。
ユウリ「……………いてっ!」
風と同時に、細かく尖ったつららが彼の身体を突き刺していた。冷たさと、針にチクチク刺された感触がダメージを増大させる。
シラユキ「えいっ!」
シラユキは、装置のレバーを上げた。さっきまで動いていた機械が、弱まる音を立てて止まる。
ユウリ「シラユキ、ナイスっ!」
 ユウリとシラユキは、お互いにウインクした。
アイシクル「シラユキ……!貴様………!」
アイシクルは、血眼になり小さい身体で、更に小さいシラユキの首元を持ち上げる。
シラユキは、てへっと舌を出した。
アイシクル「…………。」
 すると。
シラユキ「うぎゃっ!………」
アイシクルの気に触れたのか、シラユキの舌がすぱっと斬り落とされる。
真っ赤な血とピンク色の肉片が、冷たい氷の地面に滴り落ちた。
ユウリ「シラユキ!大丈夫!?」
シラユキ「………………っ!」
 シラユキは、あまりの激痛に泣くことすら出来ない。これぞ、舌切り雀ならぬ舌切り少女だ。
アイシクル「……馬鹿だな。」
 含み笑いをするアイシクル。
 その背後ではユウリが、闇を更に黒く染める殺気を放っていた。
ユウリ「…………おい。それは流石に無いと思うが。」
アイシクル「僕を裏切った……罰だ。」
 アイシクルは、かっと目を見開いた。
ユウリ「何があったかは分からぬが……。やってる事は間違ってるし彼女は返してもらう!」
 ユウリは、目を鋭く光らせた。すると、黒い髪が真っ白に染まる。身体からも、今までにはないオーラが出ている……。
 アイシクルは、それを見て微笑した。
アイシクル「フフ……。裏切り者は万死に価す……!このチビも……、貴様も……。僕とメアリーの邪魔する奴……。皆消えてもらう……っ!」
そう言い放ち呪文を唱えると、辺り一面氷のフィールドになった。


《続く》

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Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #60 

#60 声枯れ騒動

前回のお話。
グレンは、欲求不満を起こしていた。
そこへ、ザキュバスが現れる。
ザキュバスは、「気持ちよくさせる代わりに声枯れ薬を作る」と話をもちかけ、
グレンはまんまとそれに引っ掛かったのであった……。


《そして、数日後……》


リリウム「gャ£▲△‰℃¥………■※@!(グギャァアアアアア……グレン!)」
 リリウムは、常人には恐らく聞き取れないガラガラ声を出し、グレンの元へ走ってきた。
 そのガラガラっぷりにグレンは、一瞬逃げたくなった。
グレン「リリウム様、どうしました!」
リリウム「$¢ガ………▽⇒※ヵΠヴヰΞΜΚεηヮ~!(声が……こんなのになっちゃったどういうことよ~!)」
 リリウムは、ガラガラ声でわめき立てる。
グレン「リリウム様。とりあえずは落ち着いて……。」
 グレンは、リリウムの身体に手を当てて落ち着けようとする。
 リリウムは、喚いていたのがぴたっと止まる。
リリウム「……?グレン……ガ○Ι□……。(……?グレン……顔色……。)」
リリウムが見つめるグレンの顔色は、青白くなっていた。
グレン「あ、ちょっと寝不足なだけだ……。」
グレンはこの時、実は物凄く罪悪感を感じていた。

***

と、いうのも少し前のこと……。
煉「○B゛£~……(おはよー……。)」
 煉は、あくびをしながら挨拶をする。しかし、声はガラガラ。聞き取れるようなものではない。
エメラルド「おい、どうしたその声。」
煉「AZκΡヵヴ……∵∧℃……(朝からすごく声の調子が悪くて………。楓も……)」
エメラルド「よく聞こえないぞ……?」
 エメラルドは、耳をぴくぴくとさせていた。
煉「ダgr……ゴエ……ヂョu$……。(だから……声……調子………。)」
 煉は、ゆっくりと、なんとか聞いてもらえるように話した。
エメラルド「ん、声?調子悪いのか?」
 エメラルドがそうたずねると、煉は頷いた。
エメラルド「……そうか。あんまり無理して声出すなよ。」
 エメラルドがそういたわると、煉はまた頷いた。
 エメラルドは、顎に手を当てる。
エメラルド「そう言えば、ベルベットやリオレット、みおも言ってたな……。グレン、何か知らないか?」
グレン「俺は……、知らないな……。」
グレンは、冷や汗を押さえるのに必死だった。

***

自らの欲の為に、主までもをこんな目に逢わせることになるとは……。
グレンは、重い罪を感じるのであった。

《続く》

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