箱庭の図書室

Vierge♀Cendrillon連載中!

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やみいろアルカディア #30 

#30 恋話

前回のお話。
ミライは、ベッドの上でうずくまっていた。
すると、アイシクルが人のような姿になる……。
リビングでは、レナがハルカを想い窓の外を見る。
そこへアリシアが、透明になっていた矢を引っこ抜き一件落着するのであった。


 明くる日の闇咲邸の一室。
女子チームは、ミライを取り囲んで張り込みをしていた。
レナ「ねぇー?どうして急にユウリなんて好きになったの?」
ミライ「えっ……。」
 ミライは、レナの率直的な質問に戸惑いを見せる。その表情は、照れた様子で。
 更に、アリシアが彼女を追い込む。
アリシア「その……いつから、好きになったの?」
ミライ「……………!」
ミライは、照れた顔を背けながら体を硬直させ、口を固く閉ざす。
答えを期待して待っているレナとアリシア。ミライには、そのビームのような視線が重くのしかかった。
 そこへ、レイナが指摘を入れる。
レイナ「二人とも、そんなに迫ったらみーちゃんまた逃げちゃうよ?」
レナ「あ。ごめん。」
レナは、てへっと舌を出した。
レイナ「とりあえず後は私に任せてさ、二人はちょっと……外に出ておいてくれないかな。」
 レイナは、レナとアリシアに向かって言った。
 二人は、あっさりした様子で動き出す。
レナ「分かった。アリシア、行こう。」
アリシア「うんっ。」
レナとアリシアは、部屋から出ていった。
レイナとミライは、二人きりになる。
レイナ「みーちゃん?」
ミライ「………………っ。」
レイナ「さっきから大丈夫?」
ミライ「大丈夫………。」
そう言いながらも、ミライは頭をふらつかせる。
 レイナは、倒れそうになるミライの頭を支えた。
レイナ「うーん……。これは早く気持ち伝えた方がみーちゃん楽かも……。」
ミライ「でも伝えられない………。」
ミライは、うつむいた。少し目を潤わせて。
レイナ「……そうだ、文って書ける?一回書いてみる?」
ミライ「うん……。」
 レイナは、魔法でメモ帳とペンを出現させた。
ミライは、メモ帳を自分の前へ持ってきて、ペンを持つ。
レイナ「そうだな……『あなたのことが好きです』とか書いてみて。これは一応練習だよ?」
ミライ「分かった……。」
とは、言うものの。ペンを持つミライの手はか弱く震えていた。
震える手とドキドキする心臓の鼓動を彼女なりに抑えて、一文を書いてみた結果。
それは、もう文字としては読めない。まるで2、3歳児の落書きのようだった。
ミライ「書けない………。」
 そう涙目になるミライ。
レイナ「あ………緊張したんだね………。」
レイナもこの結果に関しては、汗マークが出るばかりであった。


《続く》
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category: やみいろアルカディア

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Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #45 

#45 魔兎娘のパートナー

前回のお話。
いつも脱走しているリリウムのことを、両親は見過ごしている訳が無かった。
そしてある日、ジグマとリリウムはノアール邸へと呼び出される。

 ジグマと、ノアール夫妻の対談は進んでいた。
 そして、アルフレッドが本題を切り出す。
アルフレッド「で、頼みがあるのだが。」
ジグマ「頼み……?」
ジグマは、お金も地位も何もない、ただの学生だ。そんな自分に、ルナリアの資産家が何を頼むのだろう。そう彼は思った。
アルフレッドは、話を続ける。
アルフレッド「しばらく娘を預かってほしい。」
ジグマ「えっ……。」
リリウム「えっ……。」
ジグマとリリウムは、顔を合わせた。
アルフレッド「娘に社会勉強をさせるいい機会と共に、正気に戻る手立てになるかもしれない。もちろん、生活が苦しければ補助はしてやる。お願い出来ないであろうか。」
ガーベラ「お願いします……。」
ノアール夫妻は、神にすがる思いでジグマに頼む。
しかし、ジグマはなかなか回答に踏み出せない。今まで気ままに学生生活を送っていた彼には、あまりに内容が突然で重すぎる。
そんな中、リリウムは期待するように目をうるうるさせていた。
リリウム「いいでしょ……。ジグと一緒にいたい。嫌だというならルナリアぶっ潰す。」
ジグマ「……………。」
ジグマは、黙ったままだった。
アルフレッド「勿論無理は言わないよ。出来ればでいいのだ。」
アルフレッドがそう言った後も、沈黙はしばらく続いた。
その間、リリウムの目もずっとうるうるしていた。
それから、しばらくして。ジグマは決断をする。
ジグマ「………分かりました。彼女もそう望んでいるようなので。」
 これが、ジグマとリリウムが一緒にいることになる瞬間だった。
 アルフレッドは、微笑みを見せた。
アルフレッド「おぉ、それはそれは。では、今日から娘を頼むぞ。」
ジグマ「よろしくお願いします。」
この日から、ジグマは果てしないようなクエストを請け負うことになったのであった。

ルナリア一の破天荒、魔兎リリウムのパートナーという………。


***

それから、数年は経った今。
ジグマは、彼女の事で怒っている最中だった。
ジグマ「なのに、リリィ……。全然更生する気ないどころか最近余計酷くなってるし………。」
ジグマの手は、震えていた。
リン「そういう事情があったの………あっ……。」
リンが、なだめようとする頃。ジグマの姿は無かった。
リン「ジグにゃ……。」
リンは、なんとなく嫌な予感がした。
それは、占い師のカードにも出ていた。
リオン「これはっ…………!」
黒猫魔「?」
リオン「死神………。」
 先ほどまで快晴だった空にも、空を覆う雲が見えてきた。


《続く》

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Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #44 

#44 魔兎娘の両親

前回のお話。
ジグマの過去の話。
魔兎騒動があってから、リリウムは大人しくお嬢様生活を送っていた。
と、思いきや脱走ばかりしてジグマの元へ神出鬼没状態だった……。


リリウムのそんな行動を、ノアール夫妻は見過ごしている訳が無かった。
 父、アルフレッド・ノアール。ルナリアでいくつもの事業を展開する彼は、いつも厳格だった。
母、ガーベラ・ノアール。彼女は、品格を大切にしていた。娘にも、品のある女性になるようにと様々な教養を身に付けさせていたのだが……。
結果、家の名を汚すどころかルナリアを滅ぼそうとしかけた化け物娘に。
更には、幾多もの監視体制がついているにも関わらなずに、連れ戻しても連れ戻してもまた脱走する脱走屋に。
両親とも、正直勘当していた。
 アルフレッドが、ガーベラに話しかける。
アルフレッド「なぁ、あの馬鹿娘の事だが。」
ガーベラ「あの汚らわしい娘が何ですの?どうせ、お嬢様として更正するつもりなんて無いでしょ。」
 ガーベラは、リリウムを馬鹿にしたような罵り口調だ。
アルフレッド「あぁ、その事だが。」
 アルフレッドがそう言うと、ガーベラはそっぽを向く。
ガーベラ「あんな娘の事なんて、知る余地もありません。」
 アルフレッドは、まぁまぁ、とガーベラをなだめた。
アルフレッド「まぁまぁ、そう言わずに。噂じゃ、最近若い男にひっつきぱなしらしい。」
ガーベラ「………男?」
ガーベラは、眉間にしわを寄せる。
 アルフレッドは、半ばにやけながらこう続けた。
アルフレッド「それで、いっそその男に馬鹿娘を渡してやれば………。」
 それを聞いてガーベラは、納得したように頷いた。
ガーベラ「なるほどね………。」


ある日、ジグマはリリウムと共にノアール邸に呼び出された。
ジグマ「ここがリリィの家……流石お嬢様。」
 ジグマは、お屋敷の内装に目がくらみそうになっていた。
田舎の村から単身、ルナリアにやってきた彼。まさか、シャンデリアや重厚な家具が揃う絢爛豪華なお屋敷に呼ばれるとは思いもしてなかった。
 一方のお嬢様は、垂れ下がるうさ耳で顔面を塞ぎ、ソファーにうずくまっていた。
リリウム「嫌だ……。早くここから出たい。」
ジグマ「しょうがないだろ。ちょっと我慢したらすぐ終わるよ。」
ジグマは、リリウムの背中をさすった。
そこへ、アルフレッドとガーベラが入ってきた。
アルフレッド「いやぁ、君が娘のお気に入りかね?」
アルフレッドが、中央にテーブルを挟み、ジグマの前にやってきた。
ジグマ「はい、ジグマと申します。」
アルフレッド「ほうほう、ジグマくんか。私はアルフレッド・ノアール。リリウムの父だ。よろしくな。」
 アルフレッドは、ジグマに手を差し出す。
ジグマ「こちらこそ、よろしくお願いします。」
 ジグマも、その手をとり握手をした。
 次に、リリウム母のガーベラがジグマに話しかける。
ガーベラ「しかし、娘のお気に入りなんて……中々大変そうね。娘の様子はいかが?」
ジグマ「暴走するときも多々あり大変ですが……大人しい時もありますよ。」
ガーベラ「そう。まぁ。おかけになって。」
ジグマは、ソファーにそっと腰掛ける。
ノアール夫妻も、慣れた様子でソファーに腰掛けた。
その隙にも、脱走しようとする人がひとり………。
リリウム「そぉーっと……。」
リリウムは、音を立てないように気をつけて出口に足を運ばせる。抜き足、差し足、忍び足……と。
 何か気配を感じたようにジグマが、ふと横をむく。
ジグマ「リリィ。」
ジグマ、及びノアール夫妻は、リリウムの方を見た。
リリウム「ぐぅううう………。」
リリウムは、フ●ックの文字を視線に込めながら、不機嫌そうに。しぶしぶと席に戻るのであった。


《続く》

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やみいろアルカディア #29 

#29 人型アイシクル

前回のお話。
レナは、ずっとハルカを想っていた。
その傍ら、ミライもずっとユウリのことを想っていた。
ユウリと話していて視線を感じたレイナ。
ミライは、レイナに恋心がバレて恥ずかしく、逃げ出してしまうのであった。


~ミライの自室にて~

彼女は、ベッドの上でうずくまっていた。ぬいぐるみを抱いて。
ミライ「うぅ………。アイシクル……。」
すると、またもアイシクルの中から声が聞こえる。
アイシクル『大丈夫かい……?』
ミライ「アイシクルっ……ぅう………。」
ミライが、アイシクルを更にぎゅっと抱きしめる。
すると、アイシクルから煙が出てくる。
ミライ「ひゃっ……!」
ミライは、アイシクルから手が離れた。
 その時だった。
「おや……。びっくりしたかい………。」
ミライは、声のする自分の正面を見た。
 すると、アイシクルに似た頭巾を被った子が立っていた。
 華奢な体はマントに包まれており、顔には、ミライのようにツギハギメイクが施されている……。無表情な顔は、少女とも少年ともいえない、柔らかで中性的な印象だ。
ミライ「アイシクル……?」
ミライは、その子を見ながら呟いた。
アイシクル「………うん。」
その子……アイシクルは、無表情な口元を少しだけにっこりと緩めた。
 ミライは、ベッドから降りてアイシクルに抱きつく。
ミライ「アイシクル………っ。」
アイシクル「よしよし……。」
アイシクルが、ミライの頭をそっと撫でる。
 ミライは、アイシクルに抱きついたままだ……。
ミライ「…………っ。」
 アイシクルは、ミライを優しくいたわる。
アイシクル「君は、僕が守ってあげるよ……。君には僕がいるから………。ずっと……ずっと…………。」
月に照らされた二人の影は、二人をまるで飲み込むようだった……。


~一方、リビングでは……。~

レナが、おかしくなってから数時間は経っている。
レナ「ハルカ………。」
レナは、月を見上げて涙で目を潤わせていた。
レイナ「なんだか見てるこっちが切なくなってくる……。」
ユウリ「いい加減キモいというか可哀想なのこれと言うか……。」
それを見ていたレイナとユウリも、気が滅入るような感じだった。
アリシア「キューピッドの矢が刺さったみたい……って。あっ、刺されたんだ。」
アリシアは、レナの背中をそっと触った。
 すると、目には見えないながらも手に、棒のようなものが当たる。
アリシア「あ……もしかして……。」
アリシアは、それを引き抜いた。
 その瞬間、レナの背中がぴくっと伸びた。
レナ「………っはっ。なんで私、こんな所で空なんて見ているんだろう……。」
正気に戻ったレナは、ゆっくりと立ち上がる。
アリシア「目が……覚めたのね。」
レイナ「良かった……。」
ユウリ「おはよう。」
アリシア、そしてレイナとユウリはほっとするのであった。


《続く》

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やみいろアルカディア #28 

#28 恋心

前回のお話。
闇咲邸に帰ってこないレナ。
ユウリが様子を見に行くと、レナはハルカとイチャイチャを繰り広げていた。
ユウリが強制的に引き離し、レナを連れて帰る。
残されたハルカは、切なげな顔をした。

 ユウリが、レナを連れて帰ってきてからのこと。
レナ「ハルカ……。」
 レナは、暗い外を眺めていた。その瞳は、恋人に会えない切なさを宿していた。
アリシア「どうしたの?帰ってきてからずっと様子がおかしいけれど。」
アリシアは、レナをさまざまな方向からきょろきょろと見ている。
 ユウリは、レナがおかしくなった原因をこう考える。
ユウリ「レナがおかしくなったのは例の矢のせいだろ……。にしても、見えないとはどういうことなんだろ?」
レイナ「“透明化”とか?……ってキューピッドの矢って普通コミカルに見えるものなのか?見えてたら、抜かれて終わりだし。」
 レイナにとっては、そこが疑問だった。ユウリ「さぁ……知らない。」
そこは、ユウリもさっぱりであった。
その端から、仲良く話すレイナとユウリを羨ましそうに見る影……。
 それは、ツギハギ顔でぬいぐるみを抱えたあの子だった。
ミライ「いいな………。ね…………。」
ミライは、アイシクルに同情を求めた。
アイシクルは、いつもと同じ。くりくりのボタン目に、口を閉じたままの表情だった。
ミライ「でも……言えない…………。アイシクルっ…………。」
ミライは、アイシクルを強く抱いた。
 彼女の、白塗りの下の顔のほてりが収まらなくて仕方が無い。
 その時。
『大丈夫……。僕がいる……。』
ミライ「アイシクルっ……!?」
アイシクルが、少年声で話しかけてきた。ミライには、そんな気がした。
アイシクル『君には僕が、ずっとそばにいる……。』
 アイシクルのぬいぐるみの身体から、温かさが感じられた。
ミライ「う、うん……。」
ミライは、アイシクルの温かみにずっと抱きしめていた。
けれども、視線はあちらの方に向いている……。
 一方、あちら側では。
ユウリ「ん?何か視線を感じるような……。」
ユウリの背後からは、確かに視線がこちらを捉えていた。
レイナ「ちょっと、いい?」
レイナは、そう言って視線のする方へ向かった。
そこには、一人ぬいぐるみを抱え視線を送っているミライがいた。
レイナ「どうしたの?ずっとこっちを見てきて。入って来ればいいのに。」
レイナは、ミライの肩をぽんと叩く。
ミライ「…………っ!」
ミライは、口がなかなか開かない。
レイナ「?。もしかして………。」
レイナは、ミライの瞳を見つめながら続ける。
レイナ「単刀直入に言っちゃうと……ユウリに恋しちゃった的な?」
 その言葉を聞いた瞬間。ミライの全身には、雷に撃たれたかのような衝撃が走った。白塗りで見えないものの、顔が火照る。
ミライ「…………!」
ミライは、気持ちが抑えられなくなったせいか逃げ出してしまった。
レイナ「あっ………。」
レイナは、追いかけたくもなった。しかし、ここは放っておくことにした。


《続く》

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やみいろアルカディア #27 

#27 矢で結ばれた百合

前回のお話。
シャーリーとリナの前に、レナとハルカが現れてバトルに。
最初はレナとハルカが優勢だったものの……シャーリーの矢に撃ち抜かれあっけなく撃沈。
作戦通りうまくいったシャーリーとリナは、お互いに笑いあうのであった……。

闇咲邸では。
リオレ荘の住人は、矢の雨が引いたのを見計らい帰った。あとは、レナが帰ってくるのを待つだけだった。
 空は赤くなり、夕日は既に傾いていた。
レイナ「レナ……遅いね。」
 窓から景色を眺め、妹の帰りを待つレイナ。
ユウリ「戦いが長引いているだけじゃない?」
 ユウリは、いつも通りののんびりした様子だった。
レイナ「でも、なんか戦っている様子も無さそう……。」
窓の外を眺めながら、レイナは言った。
確かに窓の外は、戦火も、魔法を使っている様子も、そういう音も無い。カラスが鳴くだけで、いたって平和な黄昏時だ。
ユウリ「もし良かったら、見てきてあげようか?俺一瞬だし。」
レイナ「分かった、お願いする。」
レイナの依頼の言葉を聞いたユウリは、レナの元へとワープした。

***

その頃、レナは。
レナ「ハルカ……大好き……にゃぁああ………。」
ハルカ「私もよ、レナ。ちゅっ……。」
天上院家の長女と、熱々なデートの最中だった。
二人は、サンセットの中。大胆にも体を抱き寄せ合い、舌を絡ませてキスをしている。
そんな最中のレナに、ハリセンが……。
レナ「きゃっ、痛いっ。………いきなり何するの………。」
後ろを振り返ると、ハリセンを降り下ろしたままで、視線を一直線に向けているユウリがいた。
ユウリ「こんな所でイチャイチャして。帰るぞ。」
ユウリが、レナの身体を掴んで引っ張る。
 レナは、じたばたしてハルカの元へ戻ろうとする。
レナ「ちょっと、何するのっ!」
ハルカ「あぁっ!レナー!」
ハルカも、レナの身体を掴む。離さないとばかりに、抱き寄せて引っ張る。
ユウリ「俺らは帰るし、お前も早く帰れよ。」
しかし、ユウリはそう言うとレナと共に、消えてしまった。
一人残されたハルカ。
ハルカ「…………。」
その瞳は、うるうるとしていた。
 そこへ、近づいてくる影。
ハクモ「ハルカねぇー!」
 ハクモが無邪気な声で、ハルカに駆け寄ってきた。
 その後ろからは、フェネアンもてくてくと歩いてくる。
フェネアン「ハルカー。そんな所にいたのー。」
ハルカ「……………うん。」
ハルカは、目に涙を浮かべていた。声のトーンも、明らかにテンションが低い。
 ハクモが、ハルカの顔を覗きこむ。
ハクモ「……ハルカねぇ?」
ハルカ「いや、……なんでもないよ。夕日を見てちょっと切なくなっていただけ。」
ハルカは、そう嘘をついた。しかし、その内心はレナのことでいっぱいである……。
ハクモ「教会に、帰ろ?」
ハルカ「うんっ。」
そうやって、ハルカもハクモ、フェネアンと一緒に帰るのであった。


《続く》

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やみいろアルカディア #26 

#26 聖女と悪魔と悪巧み同盟

前回のお話。
闇咲邸では、リオレ荘住人が矢の件について相談に来ていた。
一方、シャーリーとリナは矢の雨を降らし続け村中を混乱に陥れた。
そこへ、レナとハルカが現れて……?

レナ「何こそこそとして。笑いがまた嫌な予感がする……。あと今お姉様とか聞こえたような……。」
レナが、リナを睨み付ける。リナに向かって、痛い視線が突きつけられる。
リナ「何よ。人の話を盗み聞きなんて。嫌らしい。」
 リナは、レナの方を向いて睨み返した。
ハルカ「アンタたちみたいな悪党にそう言われる筋合いは無いわね。」
 ハルカは、悪党どもを指さして言った。
シャーリー「悪党!?私は幸せを振りまいている善良な天使よ?」
 悪党と思われるなんてまんざらなシャーリー。
 リナは、疲れた様子でこう続ける。
リナ「そうそうー。私はただこいつに脅されて使いっ走りにされてるだけよ~。」
レナ「結局どっちも悪党じゃん?」
レナが、水を差すように即座に言い返した。
 その言葉が、シャーリーをさらに挑発させる。
シャーリー「アンタみたいなヒロイン気取りの悪魔に言われる筋合いは無いわね!ふん!行くわよ!」
リナ「おう!」
 シャーリーの掛け声に、リナが頷く。
リナが、炎弾をレナに向かって放つ。
しかしレナは、それをひらりとかわした。
ハルカ「敵は一人じゃないわ!」
ハルカがリナの背後から、メイスを振りかざす。
リナ「危なっ……ついレナの野郎に気を取られていた……。」
 リナは、ギリギリの所で攻撃をかわした。
レナ「ナイトメアーウィップ!」
 そこを突くように、透明のつるが絡み付きリナを縛りつける。
 身動きが取れないリナ。
リナ「くっ……。」
レナ「……今すぐに悪巧みはやめなさい。」
 レナは、リナを睨みながらそう言った。
リナ「そう言えば、あのキューピッドはどこに行ったっけな……?」
 辺りをきょろきょろと見渡すリナ。
レナ「?」
レナも警戒しつつも、辺りを見渡す。
ハルカも、あのキューピッドが居ないことにいち早く気付き探していた。
ハルカ「姑息な真似はやめてとっとと出てきなさいよ!」
しかし、シャーリーが出てくる様子はない。
 ハルカは、ダウジングを取りだして祈りを込める。
ハルカ「ダウジング……敵位置をしめ……っ。」
ハルカの背中に、矢が突き刺さる。彼女は意識を失い、手から離れたダウジングは地面に転がり落ちた。
 一方のリナとレナ。
リナ「キューピッド……居ないわね……。」
 リナは、縛られたままそう呟いた。
 レナも、会話を繋げていく。も……
レナ「本当に………っ!」
ハルカとほぼ同じ時をもって、レナの背中にも矢が突き刺さった。
魔法は解け、リナはあっけなく自由の身になった。
 気を失うレナ、そしてハルカを見てリナは安堵の顔を見せた。
リナ「作戦通りね。」
シャーリー「やった。これでとりあえずの邪魔者は片付けられたわ……。」
シャーリーも、空から地上へ降りてにやついた。
リナ「あとはこれを、“透明化”、っと。」
リナが、指先で矢の柄に触れる。すると、矢が透明になった。
リナ「これで引き抜かれる心配も無いわよ。」
シャーリー「ありがと。フフフ。」
リナ「フフフ……♪お姉様………♪」
シャーリーとリナは、お互いを見つめ合って笑っていた。


《続く》

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Vierge♀Cendeillion~ようこそ僕らの闇堕ちギルド~ #43 

#43 ジグマの恋愛事情

前回のお話。
ギルド内。イライラするモモの前に、グレンがやってくる。
用件は、リリウムが暴走したことについての相談だが………モモに妨害される。
なんとか妨害は阻止する。
その傍らでは、ジグマもイライラしているのだった。


実は、ジグマはある事情でリリウムとお付き合いをしていた。
過去に、ルナリアの脅威となった魔兎騒動。
その後、リリウムはすっかり落ち着き、ノアール邸で幾多にもわたる監視のもとお嬢様としての復帰生活となるのだが。
リリウムは、それをほいとすり抜けてはある男の元へ行ってたのである。
その相手こそが、ジグマだった。
 ジグマは、ルナリア・バリェイナ高等魔法学院に通っていた。
 その、授業中のこと。ジグマが集中して授業を受けていると……。
リリウム「うきゃーっ!」
ジグマの座っている窓際。突然、外からリリウムの奇声が聞こえてきた。
先生も、学生も。何事だ、とリリウムの方を見る。
ジグマ「ちょっと……何してるのリリィ!」
 怒りの表情を見せるジグマ。
 リリウムはそれに構わず、むしろそれを読んだかのように外から窓に引っ付いて舌を出す。
先生「あら、ノアール家のお嬢様じゃない……!って何やってらしてるの!」
先生も、リリウムを見るや驚きの表情を見せる。
ジグマ「すいません……。ちょっと、授業を抜けさせて頂いても大丈夫でしょうか……。」
 ジグマが、そう言って席を離れようとする。
先生「お嬢様の知り合い?なら、二度と授業妨害はしないように言って頂戴。」
先生は、若干キレ気味な様子だった。
ジグマは授業を抜け、校舎を出る。
そこには、リリウムがにやにやしながら立っていた。
リリウム「ジーグマっ♪」
無邪気なハイトーンボイスで、リリウムがジグマを呼びかける。
 それに対してジグマは、若干怒り気味の真顔だ。
ジグマ「可愛い声出してもさ……。どうして学校にまで来てあんな事したの。」
リリウム「家にいるのは嫌だしジグに会いたかったから……。」
リリウムは、寂しげな表情をした。
 ジグマは、リリウムの身体に手を置いた。お母さんが子供に、言い聞かせるように説教をする。
ジグマ「だからと言って、あんな事はしちゃダメでしょ。今や悪名高いリリウム嬢とは言うけれど。皆の迷惑になってるんだよ。」
リリウム「…………ぐぅううう。」
リリウムは、説教を聞いて唸っていた。
ジグマ「もう………。しょうがない。授業終わったら一緒に遊んであげるから、大人しくしなよ。」
ジグマが、リリウムの頭を撫でる。
リリウムは、満足そうな顔をして何処かへ消えた。
ジグマ「全く……。しょうがない魔兎。」
ジグマは、また……。とため息をつきながら、校舎へ戻っていくのであった。
そう、彼にとってそれは、日常茶飯事。
リリウムは、家にも、出かけ先にも、ジグマの元へは神出鬼没だったのだ。


《続く》

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